今日は雨の中乗馬。
雨の日は乗る人が少ない。
今日は特に少なくて、私のレッスンは私一人だけ。
グループレッスンが基本だから一人だけというのはお得な話なんですがそう単純ではない。
私が乗ってる馬は、先頭が嫌い。
一頭なら先頭じゃないからいいんじゃないかと思うんですがそういう高度な理屈は馬には通じないみたい。
先頭が嫌いで一頭はもっと嫌い。
さてどうなる?
ひやひやしてたら指導員のAさんが現れた。
馬術の全国大会に出るような女性指導員です。
「若草さん、今日はレッスンじゃない感じでやりますからね」
どういうこと?
一頭だけのレッスンは嫌がって動かないから、指示は出しません、好きなように動いてくださいというんです。
馬場に行って馬に乗ったらAさんは馬場から出て行ってしまった。
隣の馬場のまだ向こうに行ってしまった。
いつもは指導員の号令でレッスンが始まるんです。
雨の中広い馬場の真ん中にぽつんと一頭。
乗馬歴15年で初めてのことです。
非常に心細い。
Aさんは向こうのほうで知らん顔して何か作業してるふりをしてる。
しかたなく動かそうとしたけど動かない。
動かんだろうなと思いつつたたいたりけったりしてやっと動き出した。
しばらく動いたと思ったら止まった。
やる気のなさ全開。
動いたり止まったり何度か繰り返すうち全然動かなくなった。
たたいても蹴ってもダメ。
お手上げです。
Aさんは相変わらず向こうの方で何かしてるようなふりをしてる。
救いを求めてAさんのほうを見たらAさんが叫んだ。
「こっち見たらダメ!若草さんが私の指示を待ってるのが馬にまるわかり!」
な~るほど!
「生徒だ」と思わせてはいけないんですね。
「この人は自主独立の騎手だ!」と思わせる!
う~ん・・・思わせられるかな。
がんばって動かしたらまた止まってどうしようもなくなってまたAさんのほうを見たらまた「こっち見たらダメ!」
三回「こっち見たらダメ!」と言われてからは順調に動きました。
しばらく歩いてたらAさんが相変わらずこっちも見ずに独り言のように「もう駆け足してもいいでしょ」とぼそりと言った。
指示号令はしない決意ですな。
あくまで知らん顔で、わたし関係ありません、通りがかりのもんですという感じ。
で、駆け足。
Aさんの懸命の演技のおかげで「一頭でのレッスン」にならず、「独立騎手」の私が勝手に乗ってる感じになったようで後半は非常によく走りました。
終わってから、「あ、雨が降ってたんだ」と思いました。
集中してましたね。