若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

信貴山縁起絵巻と最後の献血

奈良国立博物館の「信貴山縁起絵巻展」に行きました。

高校一年の時の古文の時間で、『宇治拾遺物語』の「信濃の聖」という物語を習いました。
それを絵巻にしたのが「信貴山縁起絵巻」です。

高校一年の時の古文の先生は、当時の私から見れば完全な老人の福間先生で、万年文学青年みたいな人でした。

先生の古文の時間は、先生の朗読だけでした。

割れ鐘のような大音声で、ひたすら読み上げる。
文法とか細かい話は一切なし。

それで試験ができたのか?
ちょっと謎ですけど、私の記憶では、先生の朗読を聞いてるだけの楽しい授業でした。

信濃の聖」も楽しい話だったし、教科書に出てた「信貴山絵巻」の絵も楽しかった。

で、国立博物館に行きました。

高校の時を思い出した私みたいな人が来てるだけだろうと思ったら大間違いであった。

「最前列で見るのは40分待ち」

なに?
40分?

そんなもん待ってられますかいな。
最前列で見るのはあきらめて、後ろからひょいひょいのぞくだけにしました。

最近作られた模写も展示してあって、これで十分と思ってたら、なんと、大画面でビデオを流してました。
何百インチかの画面に、絵巻が流れていく。

これで十分というよりこっちの方がずっといいと思いました。

参考展示品として、まっくろけのボロボロの重要文化財なんかがかけてあるのを見て、今後、古い日本美術展は行かないと心に決めたホンモノの値打ちがわからない私であった。

帰りに献血してきました。
来月70歳になる私にとって最後の献血

大学生の時、最初の献血をしたときは、100回くらいはできるだろうと思ってたんですが、それ以来50年で合計32回。

今となっては取り返しがつかない。
なんだか、人生に失敗したという気がします。
もうちょっと計画的に生きればよかった。

行く前からちょっと落ち込んでたからか、献血ルームで問診の時混乱してしまった。

「お名前と血液型を教えてください」
「若草鹿之助です。血液型は・・・血液型は・・・え〜っと・・・なんでしたかね」
「え・・・い、いえ・・・それは、私からはお教えできないことになってるんです」
「そんな意地の悪い」
「い、いえ、規則なんです」
「う〜ん・・・たしか、A型かAB型だったと思います」
「どっちか一つでお願いします」
「どっちがいいですか」
「いいとかわるいとかじゃなくて・・・」
「ヒントお願いします」
「あてものじゃないんですよ!」
「う〜ん・・・AB・・・かな」
「・・・」
「じゃあ・・・A型?」
「ピンポ〜ン!」

なんとか無事献血できてよかったです。

「最後の献血おめでとうございます。長年ありがとうございました。これからもどうかお元気で!」

窓口の人達の言葉に万感胸に迫り、ドアまで両側に並んだ看護婦さんたちが打ち振るペンライト、「蛍の光」の大合唱に送られて、後ろ髪をひかれる思いで二度と足を踏み入れることのない献血ルームを振り返れば、巨大赤十字マークが涙ににじむのであった。

血液でお役にたてない分、有り余る知恵で社会貢献する所存です。