久しぶりで、古い映画のDVDを買いました。
成瀬巳喜男監督、小林圭樹、新珠美千代の、昭和41年東宝映画『女の中にいる他人』と、昭和24年アメリカ映画『オールザキングズメン』の二本です。
まず『女の中にいる他人』から見ました。
親友の奥さんと不倫して殺してしまった男が小林圭樹。
警察の手が迫らないんですが、不安におののいて妻に告白したら、「子供もいるんだし家庭が第一。黙ってたらよろしい」と言われる。
で、黙ってるんですが、やはり不安で罪の意識にさいなまれて、殺した女の夫に「ボクがキミの奥さんを殺した」と告白するんですが、「すんだことだから忘れろ」と言われる。
で、忘れようとするんですが罪の意識は消えない。
で、自首することに決めて奥さんに伝える。
自首されたら家庭がむちゃくちゃになるから、奥さんは夫を殺す。
家庭がむちゃくちゃになるのも困るけど、映画がむちゃくちゃなのも困る。
あまりにもむちゃくちゃなので、今日は口直しに『オールザキングズメン』を見ました。
アカデミー賞作品賞、主演男優賞、助演女優賞受賞作品です。
原作が、ピュリツア賞受賞の、ロバート・ペン・ウォレンの小説。
期待して見たんですが、『女の中に住む他人』をはるかに上回るむちゃくちゃな映画であった。
同じむちゃくちゃでも、ハリウッドのむちゃくちゃはスケールが大きいと思いました。
腐敗した政治を憤って州知事選挙に出馬した清廉潔白な男が、知事になったとたん腐敗する。
良き夫で良き父だったのに、不倫はするは、息子はぐれるは、大変です。
主人公は、トランプさんみたいなとこもあるしキムジョンウンみたいなとこもあるんですが、最後はピストルで暗殺されて、暗殺者もその場でピストルで撃たれて、ケネディ事件みたいでびっくりしました。
この映画で唯一ひきつけられて繰り返し見た場面があります。
主人公の奥さんが、「けっこうよ。ありがとう」という場面です。
字幕は、「けっこうよ。ありがとう」なんですが、セリフが、「ノーサンキュー。アリガト」と言ってるとしか聞こえない。
何度も見たんですが、「ノーサンキュー。アリガト」と言ってるように思います。
日本帰りの兵隊さんが多かったころですから、「アリガト」が流行ってたのかな。
まあ、私の耳がおかしいんでしょうね。