公民館分館に行く。
老人会が会長問題でもめていて、間に入ってくれと頼まれたんです。
会長と役員たちが対立して、どうしようもない状態です。
役員さん8人の言い分を聞くために分館に行ったんですが、道路に何か落ちてるのに気付いた。
近づくと、刺身包丁でした。
立派な包丁である。
包丁については何も知らない私が見ても、「立派!」と思える使い込んだ感じの包丁です。
いやなものというか、やっかいなものを見つけてしまったと思いました。
知らん顔で通り過ぎるわけにはいかん。
後で犯罪に使われたりしたらたいへんです。
仕方なくひろいました。
警察に届けようと思ったけど、約束の時間があるので、とりあえず分館に向かいました。
刺身包丁をぶらさげて。
右手に刺身包丁を握った私が分館に入っていくと、居合わせた人たちに緊張が走りました。
事情を話しましたが、皆さん、気持ち悪そうに見てました。
右手に刺身包丁を握った私が会議室に入ると、老人会の役員さんたちの顔色が変わりました。
事情を話しましたが、皆さん、テーブルに置いた刺身包丁を気持ち悪そうに見てました。
さて、話し合いというより、皆さんの憤懣をぶちかまされたという感じでした。
会長の言動をああだこうだと訴える。
Aさんが訴えてると、隣のBさんが、「まあ、すんだことはいいじゃないですか」となだめたかと思うと、自分が、ああだこうだと訴える。
それを聞いていた隣のCさんが、「もういいじゃないですか」と黙らせておいて、自分がああだこうだと訴えて、一巡したと思ったらまたAさんが・・・。
三回ほどみなさんの訴えを聞いてから、警察に向かいました。
刺身包丁を握ってバス通りを歩いていくわけにもいかんので、分館の雑巾にくるんでいきました。
拾得物係の窓口に行って包丁を取り出したら、窓口の婦警さんの顔がぱっと輝いたので驚きました。
この人、包丁マニアなのか。
この包丁はよほどのブランド品なのか。
「わあ!あったんですね!さっき届けがあったんですよ!」
魚屋さんから包丁を落としたと届けがあったんだそうです。
婦警さんに、「お礼に刺身でももらえますかね」と言ったら、うふふと笑ってました。