イギリスのレコーディングエンジニアの本を読んでて、そう言えば私もレコーディングしたことあるんだと、うすぼんやりと思いだしました。
名曲『鹿せんべいツイスト』です。
この曲は「原油漂着被災地支援チャリティコンサート」に出るために作った。
調べてみたら1997年1月2日、ロシアのタンカー「ナホトカ号」が福井県の海岸で座礁して大量の原油が流出したんですね。
たぶんそれを強引にチャリティにしたんだと思いますが、市民団体主催のコンサートがあった。
朝日新聞奈良版に「あなたもあこがれの秋篠音楽堂の舞台に立ってみませんか」という記事が出た。
ここです。
立ちたい!と思って応募したら審査もクソもなく、3千円払えばだれでもなんでもOKという恐ろしさ。
この舞台でひとりギターを持って『鹿せんべいツイスト』を歌った。
今から思えば信じられないけど、私もミュージシャンとして脂が乗り切ってたんですなあ。
脂が乗りきると言っても、自動車のエンジンにサラダ油をぶっかけたという感じですが。
いや、サラダにエンジンオイルをぶっかけたと言った方がイメージに近いか。
コンサートがすんでしばらくして「鹿せんべい飛ばし大会」のことを知って、テーマソングとして買ってもらえないかと思ってデモテープを送ったら主催者の若草山観光振興会から早速電話があって「カネがないのでタダなら使ってもいい」と言われた。
まあそんなもんかと思ってタダで使ってもらうことになった。
若草山観光振興会の会長と話してたら「CDを作りませんか」と言われた。
「やった~!」と思ったら「カネがないのであんた自分で作って」と言って、親切にもレコーディングスタジオを紹介してくれた。
で、スタジオに行ったんですが、伴奏をうまく作ってあるのに感心しました。
私が作った曲とは思えない。
その伴奏に合わせて歌いました。
録音したのを聞くと、音程が狂ってたり、歌いだしがずれてたりしてました。
それから「作業」が始まった。
「エンジニア」がパソコンの画面に向かってる。
見ると画面に波型のグラフが出てます。
その波型のグラフが私の声だそうです。
グラフをいじって、音程が狂ってるのや、テンポがずれてるのを修正してるというんです。
歌ってから画面上で自由自在に修正できるというのでびっくりしたのが私のレコーディング体験です。