家内は短歌作りに追われています。
短歌グループに入って以来二十年ほどになるでしょうか、絶えず追われてる。
切羽詰まると救いを求めてくる。
できる限りのアドバイスをいたします。
今回も切羽詰まったようで作りかけの歌を持ってきた。
私の妹が大学時代に作った屏風が題材です。
二曲の大きな屏風で草書で漢詩が書いてある。
私は気に入ってるんですが妹が「いらん」と言うのでずっとウチに置いたままです。
で、歌なんですがまず「義妹が書きし」で始まる。
これはダメ。
「義妹」は字面が悪いし響きもよくない。
「義妹」という言葉は短歌には似合わない。
「義妹」がしっくりくるのは「備忘録」とか「遺産分割協議書手控え」とか。
そして何よりいけないのは、「義妹」では読む人に「間隔」「すき間」を感じさせる。
ここは「妹」とすべきである。
作者の妹というのと義妹と言うのでは与える印象が大違いである。
そうアドバイスしたら家内は「そんなことしたら加代子さん(私の妹です)に悪い」と言う。
「それに、あっちゃんは(家内の妹です)書道なんかしない」と言う。
そういう問題じゃない。
加代子さんとかあっちゃんとかいう話じゃなくて芸術の問題であると言って聞かせたら一応納得したようであった。
次。
ただ単に妹が書いて置いていった屏風というだけではインパクトがない。
若くして亡くなった妹の33回忌を終えてしみじみと形見の屏風を眺めるというのが芸術的ではなかろうか。
そうアドバイスしたら今度はあっちゃんに悪いという。
だからあっちゃんとか加代子さんの話じゃないと言っても「あっちゃんに断ってから」と言う。
ほんとに死んでもらうなら断りもいるけど芸術的に死んでもらうのだから断りはいらないと言ってもそのあたりが理解しにくいみたい。
加代子さんに悪いとかあっちゃんに悪いとかさんざん悩んだあげく結局この歌は没になりました。
この線で推敲を重ねれば感動的な歌になったと思うんですが。