なぜこの8800円もする本を買う気になったのか。
サブタイトルが決め手です。
「立花富、南信子、女性宣教師の史料を巡って」
立花富は私の伯母です。
著者はキリスト教系幼稚園で保育に携わり、現在は大学で保育史について研究されている方で、著者の恩師が南信子、南信子の恩師が立花富という関係です。
孫のはなちゃんが私立中学に入ったんですが学校の歴史を教えられて、先日電話で「ウチの学校はランバス女学院と関係があるんだって」と言ったんです。
で、おじいちゃんの伯母さんがランバス出身でランバスで教えた人で、というようなことを教えてやろうと思ったんですがほとんど知らない。
で、ネットで調べた。
子供のころから伯母はその道ではえらい人だと聞いてたんでネットで何かわかるかと思ったんです。
でこの本を知りました。
伯母は大阪に住んでランバスに勤めてたんですが、戦時中に名古屋で結婚してます。
伯母の妹が遺した日記によると、名古屋大空襲の真っただ中でのとんでもない結婚だったようです。
戦後は九州に住んで女子大学の教授をしてました。
父には姉が5人いて、富伯母は「九州の伯母」さんです。
いろんな方面で活躍してたようで東京に行ったり海外に行ったりするときいつも東大阪の我が家に立ち寄りました。
子供心にも「明るいさばさばした伯母さん」でした。
手土産は決まってウニのビン詰め一本。
「富伯母さん」イコール「ウニのビン詰め」で、今でもビンのラベルの絵、波と太陽が目に浮かびます。
伯母から電話がかかるとき、第一声はいつも「九州やけどね」でした。
ある時、伯母が我が家に泊まってて九州の息子さんの家に電話をしたことがあります。
その時の伯母の第一声が「九州やけどね」。
吹き出しました。
「おばさん、それはおかしい」
「あはは、ほんとやね」
伯母はウチに来て「キリスト教保育」はもちろん「保育」について話すことはありませんでした。
ウチの娘たちも見てもらってますが「職業」が出ることはなかったです。
唯一それらしいのは長女が生まれた時です。
生まれたばかりの長女のベビーベッドの横で伯母と父が話してた。
父が「この子の枕もとで源氏物語を読んでやろうと思うんやけど」と言いだしたのには驚きました。
「源氏物語」どころか本なんか読んだことないのに何を狂ったのか。
伯母はムッとしたような表情で「だめやね!」と冷たく切り捨てた。
困った弟、という感じでした。
「あかんか・・」
父は名案を一蹴されてがっかりしてましたが私はほっとしました。
あの時伯母がいなかったら長女はヘンな子になってたかもしれない。
その程度しか知らない伯母の「本業」について知りたいと思ったんです。