きのう、ほうきでたたく話を書いてもう一件思い出した。
以前通ってた散髪屋の奥さんの話。
男の孫が一人いて高校を出て職につかないのを心配してた。
その子がレストランの店員の面接を受けるというので喜んだ。
喜んで孫の髪を黒に染めてやった。
その子はピンクに染めてたんです。
髪がピンクでは面接は受からないからおばあちゃんが染めてやると言っていやがるのを無理やり黒に染めた。
何日かして 来たので面接はどうだったか聞いたら落ちたという。
なんと、あの日帰ってからすぐピンクに染めなおして面接に行ったというではないか。
「腹が立って腹が立って、おばあちゃんがどんだけ心配してるかわからんのか!ってほうきでバンバンたたきまくってやったわ!」
孫をほうきでたたきまくるおばあちゃん。
しみじみしました。
この散髪屋ではよくしみじみした。
通いだしたころ小学生の女の子がいた。
一人娘であっという間にセーラー服になってあっという間に結婚してあっという間に男の子(ピンクの孫)ができた。
小さな男の子を連れてよく店に来た。
奥さんがぼやいてた。
「こないだ娘が帰った後冷蔵庫を見たらすっからかん!私らの食べるものがぜんぜんないんよ。なんでも持って帰ってええとは言うてあるけど、すっからかんよ!市場に買いに走ったわ」
「こないだ娘が帰った後冷蔵庫を見たら市場で買った肉がないんよ。それはええんやけど、あとで来た時の言い草が腹立つ。『おかあちゃん、市場の肉はあかんわ。肉はデパートで買い』やて!あほらしい!何でこの忙しい私がデパートまで肉買いに行かんならんの!」
あるとき娘さんと子供が店で夕食を食べることになった。
おやじさんが中華料理の出前を取るように言って娘さんが電話した。
「もしもし、出前お願いします。ラーメン三つ、焼きそば三つ、チャーハンふたつ、餃子三つ、酢豚ふたつ、シューマイ・・・」
「オイオイ!それ、誰が食うんや!」
「誰がってこれぐらい食べるやろ」
親子が言い合うのをしみじみ聞いていたのであった。