アメリカの4人の海軍提督について読みました。
ウイリアム・リーヒは実に立派な人だった。
ルーズベルト大統領が絶対的に信頼してた。
軍事はもちろん民政、外交すべてに助言を求めた。
温厚篤実公正無私奉公第一で対立を嫌い人の悪口を言わない。
重要会議で激しい議論があった時も日記には「出席者の一部に若干の意見の相違があった」と書くような人だった。
チェスター・ニミッツも温厚篤実な人だったがリーヒが孤高の人という感じだったのに対して社交的だった。
長い海軍生活、奥さんと離れているときに交わした膨大な愛情あふれる手紙は有名である。
こういう人たちの話はあまり面白くない。
アーネスト・キングはこの二人とちょっとちがうというかかなりちがうというかぜんぜんちがう。
大酒飲みで有名だった。
ルーズベルト大統領が嫌うほどの大酒飲みだった。
大統領が嫌う酒飲み?
出世欲のかたまりだった。
「次は駆逐艦の艦長にしてください」などと平気で要求した。
ある時上官に「〇〇になりたい」と言った。
「キミはそういうことを言うから嫌われるんだよ。わかってるのかね」
「わかってますよ。でもなりたいんです」
指揮官として思い通りにならないと部下を怒鳴りまくった。
延々と激しくぼろかすに怒鳴りまくった。
部下たちはこう言ってた。
「人間はまちがいを犯すものである。まちがうのはいつもキングの部下である」
真珠湾攻撃の後、アメリカ海軍の組織変更があって全艦隊を統率する合衆国艦隊司令長官が新たに設けられた。
大統領と海軍長官はそういう大役を果たせるのはキングのような無茶苦茶な男しかないということで意見が一致した。
ウイリアム・ハルゼーもキングと似た男です。
すぐに爆発した。
陽気な爆発だったので部下の受けはよかった。
日本に対する人種差別的発言はすごかったようでマスコミと大衆に人気があった。
良識ある人たちは「いくら敵国とはいえひどすぎる」と批判した。
ニューヨークタイムズは「ハルゼー提督の発言は活字にできない」と書いた。
終戦間近、ハルゼーは「天皇の白馬に乗って東京を走り回ってやる」と発言、マスコミは大々的に報道した。
すると、アメリカ中からハルゼーの元に鞍などの馬具が大量に送られてきてハルゼーの船室は馬具置き場みたいになった。
ハルゼーと共に太平洋で戦っていたスプルーアンス大将が記者から質問を受けた。
「ハルゼーは本当に天皇の白馬に乗って東京を走り回るでしょうか」
「知らない。彼が馬に乗れるかどうかも知らない」
あとの二人のほうが読んでて面白い。