朝日新聞朝刊のコラムで70代男性を紹介してました。
高校を出て神戸の造船所で働いてた。
独身寮にいた20歳のころ百科事典のセールスマンがやって来た。
月給3万円ほどだったが5万円もする全26巻の百科事典を買った。
わからないことがあれば今もその百科事典を頼りに勉強している。
いい話です。
それにしても朝日新聞はこの男性をどうやって知ったのであろうか。
私は高校の時平凡社の全7巻の百科事典を買ってもらった。
長年愛用しましたがいつのまにかなくなった。
応接室に百科事典や文学全集をずらりと並べるのがおしゃれという時代がありました。
大学を出てしばらくのころ高校美術部後輩のT君の奈良の家に泊りがけで行った。
先輩ということで歓待してもらった。
翌日の朝食に驚いた。
お膳にはビールが何本も並び刺身に天ぷら、温泉旅館の夜の宴会みたいであった。
T君のおかあさんは奈良の大きな農家の出ということは聞いてましたが、これが奈良の大きな農家のおもてなしかと感心しました。
朝食がすんで、どういうわけかわからんが二人でサイクリングということになった。
するとおかあさんから親戚二軒に寄ってくれと頼まれた。
寄りました。
二軒とも大きな農家でした。
まず一軒目で応接室に通された。
立派なサイドボードに百科事典がずらりと並び高級ウイスキーやブランデーもずらりと並んでた。
当時の典型的模範的応接室です。
おじさんとしゃべってたら出前のすしが出た。
これが奈良の大きな農家のおもてなしかと感心したけどさっき温泉旅館夜の宴会風朝食を食べてきたとこですよ。
なんとかムリして食べて二軒目。
ここも立派な応接室のサイドボードに百科事典と高級洋酒が並んでた。
おじさんとしゃべってたら、な、な、なんとまたもや出前のすしが出てきたではないか!
これが奈良の大きな以下同文。
恐るべし、奈良の大きな農家。
高校美術部でいっしょだったS君の家に泊まった時、立派な応接室の立派なサイドボードにはエンサイクロペディアブリタニカ全35巻がド~ンと並んでた。
さすが一橋出身の企業経営者と感心したけどS君によれば飾ってるだけとのことでした。
大学の時美術部の後輩M君がアルバイトを始めたと言った。
エンサイクロペディアブリタニカのセールスと聞いてこけそうになった。
エンサイクロペディアブリタニカのセールスができるような男じゃなかったんです。
一見ヘンで話をするとずれてる。
ずれてるからこそやる気になったともいえる。
しばらくしてM君が「売れました」と言ったときはほんとにこけた。
それも相手はマンション住まいの若夫婦。
M君の名誉のために言っときますが、M君がうまいこと言って売りつけたのではないことだけは断言できる。
うまいことなんか言える男じゃない。
ではなぜ売れたのか。
知らん。