きのう書いた遊園地には、子供をつれてよく行きました。
春、秋、夏のプール、冬のスケート。家から近かったこともあって、三人の子供と、約十年ほどよく通いましたね。
その遊園地にも、もう何年も行ってない。
電車で、その遊園地の前を通ると、入り口の行列や、広場の混雑ぶりを見て、昔を懐かしく思い出すのであった。
ある日曜日のこと、私は電車で出かけた。電車は遊園地の駅に止まった。
その日は豪雨であった。土砂降りであった。凄まじい降り方であった。
さすがに、遊園地の入り口にも、広場にも人影ひとつないのであった。豪雨の日曜の遊園地というのもわびしいものである。
電車が動き出した。私は、人影ひとつない、土砂降りの遊園地の入り口を、ぼんやりと眺めていた。
と、な、な、なんと!親子連れが、遊園地の入り口へ向かって歩いているではないか!土砂降りの雨の中を、傘をさして子供を負ぶったお母さんと、傘を差して幼稚園くらいの男の子の手を引いたお父さんが、とぼとぼと、遊園地の入り口に向かっている!激しい雨に打たれながら!
感動した!
私は、電車から飛び降りて、その親子に現在の心境を聞きたかった。
今朝、家を出るまでのいきさつも聞きたかった。「遊園地に行こう」という決断までに、どんなドラマがあったのか?
愛?勇気?あきらめ?やけくそ?怒り?絶望?混沌?
この親子の行く手に幸あれと祈りつつ、私は、遠ざかり行く彼らの姿をいつまでも見つめ続けていたのであった。