若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

子供をたたく母親

 駅のエスカレーターでの話。
その駅はかなり高いので、長いエスカレーターに二回乗ってホームにつく。

 最初のエスカレーターに乗ろうとすると、前に親子連れ。若いお母さんと、幼稚園くらいの男の子。雨模様だったので傘を持っている。
 その男の子が、エスカレーターに乗る前から大声でわめいている。

「エースカレーター、エスカレータ!エースカレーター、エスカレッタ!」
ヘンな節をつけて、首を振り振り歌いわめいている。
 ほほえましい、と思った。
エスカレーターに乗ってからも、ヘンな節をつけてわめき続けている。
「エースカレーター、エスカレータッ!エスカレッタエスカレッタエスカレーター!」
 ほほえましいという気持ちは、徐々に薄れてきた。

「エースカレーターエスカレーター!」
その子は、疲れを知らない子供のように、歌いわめき続けるのであった。
一つ目のエスカレーターから降りて、次のエスカレーターに向かって歩きながらも
「エースカレーターエスカレーター!」

 そのとき、その子が駅のエレベーターに気づいた。
「あっ!エレベーターや!」
よかった、と思った。
 これで、エスカレーター連続絶叫から逃れられる!と思ったのは浅はかであった。
「エーレベーターエレベーター!エレベッタエレベッタエレベ−タ!」

「うるさ〜いっ!」
お母さんが絶叫!傘を頭上高く振り上げると、子供めがけて凄まじい勢いで振り下ろした!
 あぶない!間一髪!坊主はひらりと身をかわし、傘は、ビュン!とうなりを生じて空を切った。
 坊主は走って逃げながら、「エーレベーターエレベータ!」

 坊主!おぬしできるな!母ちゃんの動き、完全に読みきっていたな!
私はこの坊主に好感を持った。

 先日のデパートでのできごと。
私の前を、若いおかあさんと小学校高学年の男の子。お母さんは、おしゃれなヤングミセスという格好であった。

 歩きながら男の子が、お母さんを見上げて、「××買ってほしい」と言った。
お母さんはぴたりと立ち止まると、ものも言わず手を振り上げて、その子の頭を力まかせに「パシーン!」と張り飛ばした。
 そして、二人は何事もなかったかのようにまた歩き出した。

 恐るべし!おしゃれなヤングミセス!