若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ボケ老人の目が輝く時?

母が入居している施設で。

ある日、皆で絵を描いておられた。
テーブルに人形を置いて、写生である。
皆さんの「絵」を見ると、線が何本か引いてある、という程度であった。
その中で、70歳くらいの女性Yさんを見て、私は、ムム!と思った。

人形を見る目が鋭いのである。じっと見つめて、画用紙に目を移す。
他の皆さんの目とは違うのである。
人形を見る目が、はっきりと、知的作業をしている目なのである。
私は、興味津々、Yさんの絵を見に行った。
う〜ん・・・昔はうまかったのじゃないか、と思わせる絵であった。絵になっているとは思った。
「お上手ですね」と声をかけてみた。反応はなかった。

後で聞くと、本格的に絵を描いておられたかたであった。
ほとんど壊れた脳に、「絵を描く形」は残っているのである。

夏に毎年「カラオケ大会」がある。
庭に、ちょうちんを飾り、いろんな屋台が出て、にぎやかに行われるのである。
入居者の皆さんが、一人で、あるいは何人かで、ある人は家族と共に歌うのである。
去年、私にも声がかかった。「カラオケ大会」の最後に、「鹿せんべいツイスト」を歌ってほしいということであった。

張り切って出ました。家内が泣いて嫌がる衣装、純白キンキラキンの、ミスター・マリック風というか、周富徳風というか、まあ、なんとでも言え的衣装に身を包み、レイバンのサングラスも勇ましく出場!歌って踊ったのである。
入居者の皆さんは、「この男、ちょっとおかしいんとちがうか」と思いながら見ておられたことと思う。

私が歌い終わったところで、大会は無事終了。
館長から審査結果の発表!
「3位○○さん、2位××さん、そして優勝は!・・・・
若草鹿之助さんでーす!」

なにぃーっ!
ワシは出場者やったんか!?ゲストとちゃうんか!?入居者の皆様たちと競い合っていたのか!?
館長の言葉が続く。
「皆さん方大変お上手で甲乙つけ難く、優勝はどなたにしようかと迷ったのですが、出場者中、若草鹿之助さんが、比較的音程がましだったということで、決定いたしました」
あのねー・・・。
優勝賞品は大きなスイカであった。うまかった。

何の話か。
目が輝く話であった。

この「カラオケ大会」で、6人の女性の合唱があった。その話を書くつもりが、私の「カラオケ大会初優勝」の自慢話になってしまったのである。恐縮である。

続く。