若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

年の差なんて

キャッチセールスの若者に、「48歳」と言って驚かれたのは8年前である。

2年前のこと。
その年の2月に、教室の発表会が開かれることになった。
何年か通った楽器屋さんが廃業して、この教室に移って初めての発表会であった。

講師の先生たちが曲を決めて、生徒は自分がやりたい曲に名前を書き込んでいく。
課題曲の中に、名曲「スモーク・オン・ザ・ウォーター」を見つけた私は、いの一番にギターのところに名前を書いた。
年齢を書く欄があったが、書かなかった。「55歳」と書いたら、他のメンバーが集まらないのではないかと恐れたからである。

次の週には他のパートも全員書き込んであった。
他のメンバーの年齢を見て私は少し焦った。もう一人のギターのS君、22歳はまだいいとして、ドラムが高校生男子、ボーカル、ベース、キーボード、すべて高校生の女の子であった。

早くトシを告白しなければ、と思った。
練習の打ち合わせをするのに、まずギターのS君に電話をした。
「S君は、学生さん?社会人?」
「専門学校に行ってます。ということは、若草さんは、もう社会人なんですか?」
「も、もうって・・・社会人、かなり長いよ・・あの、じつは・・」
自分の年を言うのに、なぜこんなに気を使う?

「実はボクは55歳で・・」
「・・・55歳?・・・・55歳?・・・ご、55歳って、どういうことですか?」

22歳にこういう反応をされると、あとが非常に苦しくなる。

どうしたものであろうか?
高校生にサッと溶け込むには?
悩んでいた私はテレビを見ていてひらめいた。
前の年の流行語大賞に、「おっはー!」というのが選ばれたという。
何が「おっはー!」なんかわからんが、これでいこう!
これを一発かまして、サッと高校生に溶け込もう!

初めての練習の日、教室に行くと、メンバーの若者たちが集まっていた。
S君はすぐわかった。問題は、あとの高校生である。

彼らに近づくと、私は勇気を振り絞ってにこやかに叫んだ!
「おっはー!」

「・・・・・」

皆にこりともしなかった。
ぜーんぜん受けない!
溶け込むどころではなかった。
気まずかった。
ホンマに流行語大賞なんか?!