若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

赤ちゃんは可愛い

さっきバス停で見た、3歳くらいの男の子は可愛かった。
こういう子を見かけると、私は必ず頭をさわる事にしている。
彼らは、「うん?」という表情で私を見ます。

赤ちゃんが可愛いというのは当たり前であろうが、私は、かなりの赤ちゃんファンです。

赤ちゃんの可愛さをはっきり自覚したのは、高校に電車通学していた時のことである。向かいの座席に、お母さんに抱かれた赤ちゃんがいた。
何気なく見ていた私は、その手足のなんとも言えぬ不思議な動きと、顔面筋肉の自由自在な動きを見て、電撃的に、「かわいい!」と思った。

先日、私が降りるひとつ前の駅で、ベビーカーを押した若いお母さんが乗ってきて、私の隣に座った。
ベビーカーを見ると、赤ちゃん。
これがまた実に可愛い赤ちゃんであった。

この赤ちゃんが、真ん丸い目で吊り広告を見た。それから、首をうんとこさ伸ばして、ぽかんと口を開けて、つり革を見た。つり革を、こちらからあちらまで、ずーっと見ていった。次に、私たちの座席の、向うの端の乗客の顔を見て、順番にこちらへむかって観察してきた。

おっ!これは、私の顔も見てくれるかもしれん!ワクワクしながら待っていた。
お母さんの顔を見て、次に待ち構えている私と目が合った!

目が合った瞬間!
赤ちゃんは、ニッカー!と笑った!
私は座席から滑り落ちた。百万ドルの笑顔と言うのか、殺人光線的笑顔と言うのか、なんとも言いようのない笑顔なのであった。

と、次の瞬間、赤ちゃんは、素に戻ってしまった。
何事もなかったかのように、滑り落ちた私を置いてけぼりにして、また吊り広告に目をやった。
ショックであった。単なる愛想笑いだったのか?

つり革を順番に見て、乗客を順番に見て、お母さんを見て、いまや遅しと手に汗握って待ち受ける私とまたも目があった。
目が合った瞬間、赤ちゃんはまたも、ニッカー!と笑った。
私は、なんとか這い上っていた座席から、またも滑り落ちた。

と、次の瞬間、赤ちゃんはまたも素に戻った。
吊り広告からつり革に目を移す赤ちゃんを見て私は心配になってきた。

赤ちゃんは飽きっぽいからなー、今度は見てくれないのじゃないか。見てくれなかったら、ほっぺたをつかんで無理矢理にこっちを向かせてやるぞ、と思った。

そのとき、無情にも車内アナウンス。
私は後ろ髪をひかれる思いで電車を降りた。