昨日は今年初練習。
1/9の本番を控え、ほぼ完璧な形に仕上がったと言えるのだろうか。
N君の、「ダイアナ」のサックス、今まで、なんか違うなー、弱いなーと思っていた。
ところが昨日は、これだっ!という感じになっていた。
先生に吹き方を指導されたそうだ。
値打ちがありますネ。
私は指導されたからと言って、そのとおりには出来ませんが。
帰りのバス。
私が立っている前の席に、小さな女の子とお母さんが座っていた。
発車時間待ちの間から、女の子がお母さんに、「私が押すからね」と何度も言っている。
小さい子は、「降車ボタン」を押したがる。
「ピンポ〜ン」と鳴って赤いランプがつくのだから、押したいのは当然だ。
兄弟で乗っていると、けんかになったりする。
言い争っているうちに焦って押してしまって、お母さんが、「すみませーん。子供が間違えて押しました」などと謝るのもほほえましい。
子供と降車ボタン。
バスに乗る楽しみだ。
昨日の女の子も動き出す前から、「つぎ?」と聞いていた。
「ちがうよ。よっつめよ」
動き出したと思ったら、「押していい?」
「まだまだ」
一つ目の停留所に止まった。
「つぎ?」
「ちがうよ。『ポムの木』が過ぎてからよ」
「ポムの木」というレストランの前に停留所があるのだ。
さて、いよいよ三つ目の停留所だ。
右手に「ポムの木」のネオンが輝いている。
ネオンを見て女の子の顔も輝いた。
バスが動き出す。
女の子はニカーッと笑ってお母さんを見上げた。
お母さんは、優しくほほえんでうなずいた。
女の子が、座席のボタンに手を伸ばした瞬間、私の隣に立っていた若い男の手がさっと動いて近くのボタンを押した。
「ピンポ〜ン!」
あっちゃー!
ぼーぜんと固まる女の子。
一瞬、何がおこったのかわからないお母さん。
私は、怒りに燃えて隣の幼児虐待犯の顔を見た。
冷酷非常な顔、ではなかった。
普通の男だ。
駅前を出発してからの、この親子のやり取りを聞いていなかったのだろうか。
不注意でしたで済む話ではない。
女の子の口がへの字にゆがみ、涙が浮かぶ。
訴えるようにお母さんを見上げている。
お母さんは、こわばった顔に必死で笑顔を浮かべて、「また今度ね」と言った。
女の子は、涙をこらえて大きくうなずいた。