エレキギターを習い始めたころ、「バンドやろうぜ!」という雑誌を読んでいた。
私と同じように、「バンドをやりたい!」と燃えている仲間が全国にいることを知って心強かった。
年賀状を見ていた娘が、「えーっ!」と声を上げた。
会社の男性が、バンドを始めたと書いてきたのだ。
驚くほどのことではなかろう。
「全然まったくバンドをやるようには見えない」と言う。
私も、エレキギターを弾くようには見えないと言われる。
そう言われても困る。
この私に、髪をキンパツに染めて長く伸ばし、レザーパンツをはいて、鋲を打ったベルトを締め、首からどくろのついた銀の鎖と、十字架のついた金の鎖をジャラジャラとさげろとでも言うのか。
一度してみたいです。
いくつくらいの人かと聞くと、四十いくつかな、と言う。
おお!私のようなおじさんがいるのだ。
楽しい話ではないか。
早速バンドのホームページを拝見。
むむ・・・こ、これは・・・。
「ジェネシス」とか「キャメル」の曲をやると書いてある。
いわゆる「プログレッシブロック」というやつだ。
「芸術的ロック」である。
私はそれほど好きではないが、ヘタな人がやれるジャンルでないと言うことはわかる。
うまいのか?
しかし、世の中、とんでもない勘違いをしている人もいるからなんとも言えない。
インターネットで聞けるようになっているので、こわごわ聞いてみた。
絶句!
う、うまい。
これは、しゃれにはなりません。
ギターの人が、自分のホームページを持っていて、そこでも曲が聞けた。
私がCDを持っている、ゲイリー・ムーアの「スティル・ゴット・ザ・ブルース」だ。
ギターが鳴り出した。
ゲイリー・ムーアではないかと思った。
むせび泣くギターだ。
歌っているのが「カナリヤ響子」と書いてあったので、ふざけてるのかと思ったが、これまた実に本格的であった。
世の中、いろんな人がいるもんだ。
ボーゼンとしてしまった。