若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

放火に乾杯!?高田浩吉とオペラ!?

昨日は年に二回の同業者の懇親会があった。
あの、あいさつの下手な会長の声を聞けなくなってさびしい。

このところの楽しみは「長老」の乾杯の音頭である。
この方は、80半ばか、会員の最年長者ということで、会長が、乾杯の音頭を依頼される。
これがまた下手である。
前会長の下手さとは種類の違う下手さである。
前会長は、言わんとする所はよく分かる。それがうまく言えないという感じであるが、長老のあいさつは、何を言いたいのやらさっぱりわからない。

それに愛想を尽かしたのか、昨日は会長が「乾杯の音頭、いつも長老にお願いしてますので、今日は○○さんにお願いします」と言われた。
長老の隣に座った○○さんは、七十過ぎの温厚そうな方である。

会長が、長老と○○さんの方を見ながらそう言うと、少し耳の遠い長老は、うれしそうに
「なんや、またワシかいな。こういうことは苦手なんや。他に誰かおるやろに。かなわんなー。それじゃま、ご指名ですので」
とグラスを手に立ち上がった。

長老は、突如
「えー、放火!」と言った。

最近この付近で放火が多いのである。
「放火は怖いですな〜。私も、会社の周りにタバコが落ちてないか、見て回ってます。昔と違うからなー。自分の財産は自分で守らんならん。リストラとかでな、イライラして、火をつけるんやな。消防車が来るのを見て喜ぶっちゅう、その気持ちはわかるけど。えー、なに・・・えー・・・放火!・・・乾杯!」

とんでもない乾杯の音頭であった。

前会長の息子さんと隣同士に座った。
前会長の話を聞きたくて、高田浩吉などをいい声で歌われた話をした。
息子さんが言われるには、前会長は、オペラやカンツォーネの大ファンだったそうである。パバロッティやドミンゴがお好きだったらしい。
こういう席だから高田浩吉だったのである。
「野バラ」をドイツ語で歌ったおっさんとえらい違いである。

自宅の風呂は、声がよく響くようにと特別に広く作ってあって、毎晩風呂で家が揺れるような大きな声でオペラのアリアなどを歌っておられたそうである。
戦後すぐ、NHKののど自慢で優勝されたこともあるという。

もっといろいろ聞きたかったが、息子さんにとっては、単に「おやじのウルサイ趣味」だったそうで、詳しいことはあまり知らないとのことであった。

親子とはそういうもんもんですね。