今朝、いつものように電車を降りようと、網棚に置いたバッグに手を伸ばして、あれ?と思った。
私の黒いバッグのはずだが、どことなくちがうような気がする。
あれれ、と思ってよく見ると、非常によく似ているけど私のバッグではない。
近くの人たちに聞いたが、皆自分のではないと言う。
あちゃー!誰かが間違って私のを持って降りたのだな!
本を読んでいたので気づかなかった。
バッグには、財布から鍵からすべて入っている。
えらいこっちゃ、と駅の事務室に飛んでいった。
部屋に入ってまず、「非常に若い駅員ばかりだな」と、どうでも良いことを感じた。
わけを話すと、一人がここまでに停車した駅に、バッグを間違ったという人がいないか問い合わせてくれた。
その間に、もう一人が、バッグを開けて、間違った人の手がかりがないか探してくれた。
そのバッグには弁当が入っているだけであった。
手がかりなしか、と思ったが、底の方に宅急便の控えがあった。
東京に野菜を送った時のものである。
送り主は奈良の人である。
駅員が、その発送人の電話番号に電話してくれた。
誰も出ない。
焦る。
電話連絡してくれていた駅員は、他の駅には、そういう人はいないと言う。
その人は、昼に弁当を食べるまで気づかないのであろうか。
もう一度、自宅に電話してくれた。
奥さんが出た。
やった!
その人は次の駅で降りるのだと言う。
それなのに、なぜ私のバッグを持っているのだ?
奥さんからの連絡を受けて、その人から駅に電話がかかってきた。
会社にいるそうで、奥さんから言われて初めて間違いに気づいたそうである。
うまい具合に、会社が私の会社とわりに近かったので、私が取りに行くことにした。
その人は、私と同年輩の人であった。
非常に恐縮しておられた。
途中で、立っている場所を移動したそうで、その時私のバッグを持っていったのである。
「なんか、軽いなーとは思たんですけどなー」とのことであった。
よかったよかった。