若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

中学時代

中学生による凶悪な犯罪が続いている。
「凶悪」と言うより、ワケがわからなくて気持ちが悪いという気がする。

私の中学時代の最大の悩みは「自我の芽生え」であった。
保健の教科書に、15、6才になると自我が芽生えると書いてあった。
私はこれを文字通りに受け取ってしまった。
今何もない私の心に、ある日突然「自我」という異物が発生するのだと思った。

これは不安なことであった。
その不安を一層掻き立てたのが、ザ・ピーナッツである。
彼女たちが歌う「悲しき16歳」というセンチメンタルな物悲しい曲がヒットしていた。
「♪一人ぼっちお部屋で 夢見るはあの人 
それが悲しこのごろ 私は16歳
ヤヤヤッヤ ヤヤヤヤ」という歌詞である。
14、5歳の私は、お部屋で夢見たりしなかったし、ヤヤヤッヤなんて声も発しはしなかった。
しかし、16歳になったら、こういうなんともいえない切ない気持ちになるのであろうか。
その不安を、なお一層掻き立てたのが、「恐るべき17歳」という言葉であった。
当時、17歳の若者が、社会党の委員長を刺し殺したり、スターの子供を殺したりする事件が続いて、そういう言葉が使われたのである。
私も17歳になったら、そんなとんでもない事件を起こすのではないか。

16歳は何事もなく過ぎてしまった。
自我は芽生えていないと思った。
17歳も無事すぎた。
自我の芽生えは確認できなかった。

そのうち、自我の芽生えのことなど忘れてしまった。

最近、一人ぼっちでお部屋で夢見ることが多い。
自我の芽生えかもしれない。
あるいは、ボケの始まりかもしれない。
いずれれにせよ、キケンだ。
注意してください。