若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

朝日の当たる家

先日、「おっさんバンド」のベンチャーズ版「朝日の当たる家」を聞いて、弾いてみたいと思った。
私が高校のとき、アニマルズというバンドがヒットさせた曲である。

「朝日の当たる家」がヒットすると、アニマルズはすぐ日本に来た。
来日公演のポスターが学校で話題になった。
カタカナで、「ザ・アニマルズ」と書いてあったのだ。
「ジ・アニマルズ」が正しいという人がいたが、私は「ジ」もおかしいと思った。

その頃ラジオを聞いていたら、ある評論家が、「朝日の当たる家」という訳はだめだと言っていた。
「THE HOUSE OF THE RISING SUN」というのは、娼家である。
だから、「朝日楼」とすべきだと言うのである。
理屈はわかるが、「朝日楼」はちょっとなーと思った。

ピンクフロイドの、「アトムハートマザー」がヒットしたときも、日本語タイトル「原子心母」はおかしいという評論家がいた。
「原子心臓母」が正しいと言うのだ。
難しい問題である。

先日亡くなった音楽評論家、福田一郎さんを悩ませた難しい問題がある。
私が大学の時である。
ラジオを聞いていたら、「ビートルズのジョージ・ハリソンは『ハリソン』ですか、『ハリスン』ですか」という質問があった。
その番組に出ていた福田一郎さんは、「う〜ん・・・」と絶句した。

福田一郎さんは発音にはこだわる人であった。
アメリカ式であった。
「レッドツエッペリン」とは言わなかった。
「レッドゼッペリン」なのであった。
「ダイアナロスとシュープリームス」とは言わなかった。
「サープリームス」なのであった。

福田さんが雑誌に書いたり、レコードに書いたりしていることから、私は福田さんは、ポップスやロックが好きなのだと思っていた。
ところが、ある番組で、福田さんの言葉を聞いて驚いた。

自分はジャズが好きで、日本人にジャズの素晴らしさを知ってもらいたいと思っている。しかし、一足飛びにジャズファンを増やすのは無理なので、その前に洋楽ポピュラーファンを増やそうと思って評論活動をしているといわれたのだ。

深慮遠謀とはこのことではないか。
啓蒙家とはこういう人のことをいうのではないか。
感心したわけではない。
そこまでしてジャズファンを増やしたいのか、とあきれたのである。
福田さんの夢はかなえられたのであろうか。