若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

男装の麗人

男装の麗人」とは、宝塚少女歌劇か松竹少女歌劇の男役のことを言うのか。
私が中学、高校の頃までは、大江美智子一座の女剣劇が、毎週のようにテレビで放映されていたが、ああいう、女性が三度笠かぶって刀を振り回すのは、男装の麗人とは言わないようだ。

今朝、電車で見かけた人も、「男装の麗人」とは言えない。
「男装のおばさん」であった。
小柄な、私と同じくらいの年の人である。
ごく普通のおばさんのようで、普通でない。

たまに、中年女性で頭をカリカリに刈り上げて、男の頭みたいにしてる人がいるが、この人もそういう頭であった。
口紅を塗って、普通に化粧してる。
服装は、一見背広風で、ネクタイを締めている。

強烈でもなく、異様でもなく、かといって自然でもないが、不自然ともいえない。
もう、なんちゅうか、見ていて脳がかゆくなってくるのである。

この人にひと言聞いてみたい。
その格好は、なんとなく、なんですか?
それとも、エイヤッと気合を入れて、そういう格好をしているんですか。

そして、また、「昨日の朝日新聞」の人がいた。
今朝もまた、メガネをおでこに上げて、昨日の朝日新聞を読んでいる。
この人は、せわしなくページをめくる。
吊り皮の取っ手に突っ込んだ両手で、バサバサとページをめくる。
まともに記事を読んでいるのかと思う。

別にこの人にいつも注目しているわけではないが、ドアの所で立っている私が、本から目を上げると、ちょうどこの人の背中が目に入るのである。

バサバサとめくったページに驚いた。
けばけばしい全面カラー写真。
でかでかとビキニの水着姿の女性が三人。
見出しもでかでかと、「巨乳三人娘!!」

なぬ!昨日の朝日新聞に、キョ、キョニュー三人娘の写真が出ていたのか!?
出ていません。
この人は、昨日の朝日新聞に、いつのだか知らないスポーツ新聞をはさみこんで読んでいたのだ。

ややこしいことすな!

「男装のおばさん」も「昨日の朝日新聞の人」も、一体どういう事情があるのか聞いてみたい気がするが、そんなとき、私は中村伸郎さんの俳句を思い浮かべる。

「除夜の鐘 おれのことならほっといて」

名句である。
何となくおかしいような、さびしいような、ひやりとするような、ほのぼのするような、まあ、傑作といえるのではないでしょうか。

本当にほっといてほしいのかな。