私は周囲にヘンな人がいないか、いつも期待を込めてキョロキョロしているので、私自身がヘンな人だと思われてるのじゃないかと心配だ。
「ヘンな人」は男に多いと思う。
男の方が、不自然な、無理なことをする機会が多いのでヘンになるのではないか。
「女性の社会進出」が進めば、女性にもヘンな人が多くなるだろう。
「社会進出」もヘンな言葉だ。
女性が社会に侵入するというか、社会を侵略するような響きがある。
女性が社会に進出するより、社会が女性に寄って行くほうがヘンな人が増えなくてすむと思う。
駅のホームに上がって行ったら、怒鳴り声が聞こえた。
けんかでもしてるのかと思ったら、60歳くらいの男がベンチに座って携帯電話で怒鳴っていた。
ホームに響き渡る声だ。
「なんで出られへんねん!何のためにケータイ持っとるんや!電話に出んかい!なんで出られへんねん!」
物凄い剣幕である。
相手がなかなか電話に出なかったようだ。
「ふん・・・ふん・・・そやから、なんで出られへんねん!ふん・・・ふん・・今、駅や。もうすぐ電車来る」
最後の言葉はおとなしかった。
それを言いたかったのか。
なぜあれだけ怒鳴りまくったのか不思議だ。
今朝の電車。
40歳くらいの女性が乗ってきた。
片手に小さなハンドバッグを二つ下げて、片手に新聞を持っている。
この人は、網棚の前に立つと、手にした新聞を電車の床に置いた。
私はうれしかった。
持っている新聞を床に置くというのは変わっているではないか。
それからこの人は、ハンドバッグを一つずつ網棚に乗せた。
そして床に置いた新聞を取って読みはじめた。
こういう女性は珍しい。
良い感じである。
なんと、この女性は次の駅で降りた。
一駅である。
私はこの女性を追いかけて、なぜ一駅で降りるのに、わざわざ新聞を床に置いてハンドバッグを網棚に乗せたのか聞きたかった。
それができないのが私という人間の限界だ。
未熟であり修業不足だ。
この壁をいつかは破らなければならない。