若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

心よおまえはなぜ若い

家内は「朗読」の会に入っている。

奈良の「物語り館」という所で、定期的に客を集めて朗読の会を開いている。
昨日、家内は友人に誘われて「物語り館」で朗読をした。

芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を読むつもりだったのに、前回読んだ人がいるので変更してほしいと言われて困っていた。

龍之介がダメなら鹿之助だ。
私が、去年の3月14日に書いた「浅野内匠頭辞世の句の真実」をすすめた。

受けたそうである。
「朗読原作者」としてデビューしたのである。

帰りに70代の女性から、「若くていいですね。私も20年若返りたい」と言われたそうだ。
70になれば私もそう思うだろう。

得意先に私より14、5歳年上の人がいた。
「あんたいくつになった?」
「30です」
「30!ええなあ!30代がいちばんええで」

「あんたいくつになった?」
「40です」
「40!ええなあ!40代が一番ええで」

「あんたいくつになった?」
「50です」
「50!ええなあ!50代が一番ええで」

私が60になった時なんと言われるか楽しみにしていたのだが、亡くなられた。

年とともに老成するかと言うとそんなことはない。
昔の朝鮮の儒学者の詩がある。

心よおまえはなぜ若い
お前のままに振舞えば
私は世間の笑いもの

大学者の告白だ。

以前新聞の投書欄にこんな話が出ていた。
デパートの婦人服売り場で、70代と思える女性が二人で服を選ぶのにあれこれ迷っていた。
離れた所で若い女店員達が、あんな歳で何を着てもいっしょなのにと笑っていたのが悲しい、という投書だった。

悲しい話ではない。
典型的馬鹿娘である。
しかたがない。
私も馬鹿息子でした。

ナヌ!今は馬鹿オヤジ?
誰じゃ!

私のことはよろしー。

彼女達が30代になって同じ反応なら悲しむべきである。
40代を過ぎて同じ反応なら人間とはいえないであろう。

問題は彼女達が70代になった時だ。
「私たちの歳では何を着てもいっしょだわ」と言うならエライ!
思想的に首尾一貫している。
「着飾る気がない」というなら立派だ。
超越的だ。
日本のマザー・テレサだ。

しかし、そういうことはありそうにない。
70を過ぎた彼女達も、あれにしようかこれにしようかと散々迷うであろう。
そしてそれを見て馬鹿娘店員が笑うであろう。
そしてそれを見て中年女性が悲しむであろう。

心よおまえはなぜ若い

謎だ。