若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

白い巨塔:最終回後編

その頃、里見は医師たちの処遇に悩んでいた。
彼に手を差し伸べたのは財前又一であった。

「な〜里見せーんせ〜!ワシにもういっぺん夢を見させて〜な〜!五郎ちゃんがあないなことになってしもーて、もうワヤやがなでおますよってにさかいなー」
「財前さん、他の登場人物がみんな標準語でしゃべっているのに、なぜあなただけ大阪弁で、しかもそんなヘンな大阪弁でしゃべるんですか?」
「わしにもわけ分からんのやがなー。ワシからは聞きにくいよって、里見センセから脚本家のセンセに聞いたってーなー。
ところでセンセ、これからどないしはりますねん」
「私は、職を失った医師たちのために、ホストクラブを開きたいと思っています」
「おー!そら、え〜わー!カネやったらワシがなんぼでも出しまっさかい!」

こうして、里見はホストクラブ「第三病棟」をオープンした。
オープン当日、里見はホストを集めて誠意を込めて語った。

「今日からキミ達は医師ではなくホストだ。しかし、僕は、ホストという職業を卑下してほしくない。
ここへ来るお客様は、はっきり言ってフツーじゃない。様々な問題を抱えた患者だと言ってもいいだろう。キミ達は、その患者さん一人一人の悩みに向き合い、患者さんの立場に立って、ホストとして誇りを持って接客してもらいたい。
僕の言いたいことはそれだけだ。ありがとう」

ホストクラブは、母性本能を刺激する柳原等の活躍により大成功を収め、里見は経営権を買い取りオウナーとなる。

三年後、そびえ立つがんセンターの前にたたずむ里見と佐枝子の姿があった。

「すごいなー、あなたって人は。このビルを買い取って巨大クラブをオープンするんですね」
「わてかて大阪で生まれた女やさかい。それにここは、父や財前さんや、そして・・・」
「そして?」
「さ、里見先生の思いのこもった場所ですもの」
「僕はもう先生じゃありません。クラブのオウナーです」
「御免なさい、オウナー。私、出来ることならずっとオウナーの後をついて行きたいんです」
「後は追うなー」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにネッ!ところで佐枝子ママ、店の名前は決まってるんですか」
「クラブ・シャトー・ブラン」
「シャトー・ブラン?」
「白いシャトーですワ」
「えーかげんにしなさい!」
「ほんとにネッ!」

                (完)