若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

若草山山開き記念鹿せんべい飛ばし大会報告:2

CDは毎年十数枚売れるので、今年は二十枚持っていった。
CDを見て男女数名の若者グループがわいわい騒いでいる。

「『鹿せんべいツイスト』!?ナニ、コレ!?」

私はニコニコと近づいてもみ手をしながら
「若草鹿之助でございます。お嬢さん、奈良のお土産に一枚いかがですか」と猫なで声で言った。
「えー!あはは、いくら?」
「千円です」
「たっかー!」
「い、いや、売上は全額若草山観光振興会への寄付になりますので・・」
「へー!そしたら、ボランティア?」
「そう!ボランティアなんですよ。寄付のつもりで一枚・・」
「あはは、いらんわ」

冷たいではないか。

高校生くらいのおとなしい女の子の二人連れが買ってくれた。
サインして一緒に写真を撮った。
「名前は?」と聞いたら、恥ずかしいからいいと言った。
毎年こういうおとなしい二人連れの女の子がいる。

「若草鹿之助」とサインして渡したら、さっきの金髪のお父さんが「日付日付!」と言う。
なるほど、こういう時は日付を入れるのか、と思った。
お父さんは、「サインするの、なれてないんやな」と言った。

なれてません。

三人連れの賑やかな二十代の女の子がCDの前で騒いでいる。
毎年こういう賑やかな三人連れの女の子がいる。
こういう子は、サングラスをかけた「エバラ焼肉のタレ」にも、ボーゼンとしたり黙ってうつむいたり恥ずかしがったりせず、ゲラゲラ笑う。

とにかく何を言ってもおかしいようで、ゲラゲラとおなかを抱えて笑いどおしだ。
ラッキー!三枚お買い上げ!と思いきや、一枚でいいと言う。
しっかりしているではないか。

サインをする手がすべって変な字になってしまった。
「あはは、キンチョーしてるんとちゃう?」

かましわ。

無情にも雨は降り続く。
やむのを待って雨宿りしていた人たちは、だんだん去って行く。

鹿せんべいを投げ終えた人たちもさっさと山を降りて行く。
雨でなければ、芝生に座って昼ご飯、というところだが。

雨はますますひどくなり、人はますます少なくなる。
競技が終わると、野外特設ステージ前は全くの無人だ。
スピーカーなど機材には青いシートをかぶせて、雨に濡れないように気を配っているが、歌い手に対する気配りは無い。

観光協会の人が私にニコニコと
「どーする?歌う?」

なぜそんなに面白そうに言うのだ。