若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

姉と妹

春休みになって、朝の駅で家族連れや、友達同士で遊びに行くグループを見かける。

中学生や高校生が集まってワイワイしゃべっているのは本当に楽しそうだ。

今朝見かけたのは、母親と姉妹だ。
姉は高校生くらいで、妹の方は小学生だ。
いつも不思議に思うが、姉は姉らしい顔をしているし、妹は妹らしい顔をしている。

二十年ほど前を思い出した。
長女と次女が幼稚園の頃である。

二人だけで電車に乗って祖父母の家に行くことになった。
二十分くらいの距離だが、子供にとっては一大事だ。

駅まで送っていく。
長女は緊張しきっている。

「駅で降りられなかったらどうしよう?」
「切符をなくしたらどうしよう?」

祖父母の家に着くまでに何か起きたら、すべて自分の責任だ、と思っているのだ。
たぶん、親がそんな風に思わせたのであろうが、見ていても気の毒である。

それに引き換え、妹の方は気楽なもんだ。
お姉ちゃんと電車に乗るのがうれしくてたまらないのだ。
ケラケラ笑って、ちょこまか動いてふざけている。
長女が母親のまねをして注意すると、ますます調子に乗って挑発的にふざける。

顔と全身を使って、「わたくしはイモートでございます!」と高らかに宣言している。

「これから何が起きようとも一切わたくしの責任ではございません。わたくし、ご覧の通り、年端も行かぬ幼児でございます。右におりますのがわたくしの姉でございます。ふつつか者ではござますが、御用の節は何なりと姉にお申し付けくださいませ」的気楽さに満ち溢れている。

自らの手で勝ち取った「イモート」という特権的身分をフルに利用している。

それから二十年。
さすがに今ではそんなことはない。
と思う。

私にも二つ違いの妹がいる。
今の私たちを見て、五十数年前、二人が取っ組み合いのけんかをしたと想像できる人はないであろう。
もしけんかをしたとしたら、今の私達の体格からすると、私が一撃のもとにぶちのめされたと思うであろう。

しかし、当時は私のほうが体格的に勝っていたので、妹が引っかきにこようが、髪の毛をつかみにこようが、余裕であしらっていたのである。

威張るほどのことではないか。