若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

「レンブラント」でダーツ遊びとは

これは、本の題名である。
著者はカリフォルニア大学教授ジョセフ・サセックス

レンブラントの絵を所有している人が、その絵をダーツの的にしても法的に罰することはできないが、それでいいいのか。

かつて、英国下院は、ウインストン・チャーチルの80歳を祝って、有名な画家に肖像画を依頼してプレゼントした。
この画家は一流の画家であったので、80歳のチャーチルの老衰振りを余すことなく描き出し、チャーチルの奥さんは激怒してこの絵を燃やしてしまったが、そんなことをしていいのか。

芸術作品や学問的に価値のあるものは、個人の所有であっても公共のもの、人類共通の財産だと考えようと言う本だ。

当たり前のようで結構難しい。。
タリバンバーミヤンの石仏を破壊したのはけしからんと思った。
レーニン像、フセイン像が引き倒された時、「作品が破壊された」と思った人はないのではないか。

この本を読んで好きになったのは、17世紀イギリスのサセックス伯爵夫人だ。
彼女は、大画家ヴァン・ダイクに肖像画を描いてもらったところ、「顔が大きく、あまりに太っているので大変不愉快になった」が「自分と似ている」ことは認めたそうだ。
面白いおばさんだ。

このおばさんより面白いのが、この本の「訳者」だ。

この本は、読みにくい翻訳だ。
一橋大学名誉教授都留重人さんの「監訳」となっている。
訳したのは九人。
この九人というのが、1948年以来都留さんの自宅に定期的に集まって勉強している「背広ゼミ」の人たちだそうだ。
最初からのメンバーもいるのだろうか。
職場での仕事の「繁閑」を考慮して翻訳の分担を決めたそうだ。
そして「監訳者として朱筆を入れた」都留さんは88歳だ。

読みにくいはずだと思った。

どう考えてもおかしいのは、画家のギュスターブ・クールベに括弧をつけて名前をローマ字で表記してある。
なぜそんなことをする。
かと思うと、クールベが「戦争と征服を礼賛している」という理由で破壊しようとした誰かの作品は、題名をフランス語で書いてあるだけだ。
なぜ日本語に訳さないのだ。

都留さんの言う「若い諸氏」に訳させて、えらい先生が「朱筆を入れ」て出版するのは悪い習慣だと思う。