新聞によれば「平城宮跡結婚式」のお二人は、新婦の方が年上である。
統計をとればどうなるのか知らないが、年上の奥さんが増えているように思う。
「年上の女」というのは、「意味」+「雰囲気」のある言葉だ。
外国語でもそうなのか。
息子が「年上の女」を意識したのは幼稚園の頃だ。
家内が息子を連れて回覧板を持ってあるお宅へ行った。
24、5才の娘さんが出てこられた。
帰り道で息子が、「きれいなおねえちゃんやなー」と言った。
かわいい!と親なら思う。
後日家内は、その家のお母さんに、うちの息子がこんなことを言いました、と報告した。
うれしい!と親なら思う。
何しろ相手は、近所でも評判のかわいい無邪気な男の子だと親が保証する男の子だ。
年頃の娘を持った親には殺し文句だ。
さて、何日か後の日曜日。
私と息子が家にいた。
チャイムが鳴ったので出ると、そのお母さんと娘さんだ。
娘さんを近くで見るのは初めてだが、清潔そうないいお嬢さんだ。
おかあさんは、花火の入った袋を見せて、「娘が、これ、○○ちゃんにて・・・」
私はうれしくなってしまった。
おかあさんは、「きれいなおねえちゃんやなー」を、伝聞でなく直接体験したいと思ったのだ。
息子がポーッとなるところを確認したかったのだ。
私はその場で、このおかあさんと「奈良県親馬鹿同盟」を結成したかった。
私は笑いをかみ殺しながら息子を呼んだ。
花火と聞いて息子は顔を輝かせて飛んできた。
お母さんは満面に笑みを浮かべて、「ハイ、これ、おねえちゃんが○○君にって」
遺憾ながら、息子は花火の袋に吸いつけられてしまった。
「ハイ、おねえちゃんからよ」
おねえちゃんどころではない。
花火だ。
「ハイ、○○くん、おねえちゃん・・」
息子は花火の袋をらんらんとした目で見つめている。
私が、お姉ちゃんにありがとうは、と言いかけた時、業を煮やしたお母さんが、ついに直接行動に出た。
「○○くん、きれいなおねえちゃん、きれいなおねえちゃんよ!」
驚いたのは娘さんだ。
真っ赤になってお母さんの袖を引っ張った。
日ごろ温厚な母がこの様な過激な行動に出るとは思わなかっただろう。
お母さんはなおも、「きれいなおねえちゃんよ!」と言い続けた。
私は、娘さんのために、「親馬鹿被害者を救う会」を結成してあげたかった。