今日は、カルチャーセンターの人物画教室。
地下鉄の駅で、今年入ったAさんといっしょになった。
彼女は、私よりいくつか年上の、陽気な人である。
生命保険か、何かの営業系の女性かと思っていたら、高校の物理の先生と言うので驚いた。
定年後も、講師として週四日教えているそうだ。
そのAさんが、「10月からの講座、お休みの人が多いですね」と言った。
たしかに、Bさんがお母さんの介護、Cさんは、ご主人の手術、その他、高齢でご自分の具合が悪いのではないかと思える人が二人休んでいる。
「そうですねえ、親の介護、ご主人の病気、娘さんのお産の手伝い、女性はいろいろたいへんですね」と返事をしたら、Aさんは、アハハと笑った。
「皆さん大変みたいですねえ。私ら気楽なもんですわ。アハハ」
「そ、そうなんですか」
「はあ、主人は、私より六つも下で、まだまだ元気なもんですし、子供はないし、親もとっくに死んでるし、まあ、この先どうなるか知りませんけど、私ら気楽な身分ですわ〜!アハハ」
Aさんは、これまでに何度も、服に絵の具をつけて、大笑いで大騒ぎしている。
気楽な身分と言うより、気楽な性格なのではなかろうか。