若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ボクの写真を見てください

時々新聞に、読者から寄せられた赤ちゃんの写真が出ている。

見せたい気持ちは分かる。

ある人が、知り合いの赤ちゃんを見て
「かわいいねー」
とほめたら
「待って、写真はもっとかわいいんだから」
といわれたという話がある。

数年前友人と飲んだ時、子供の写真を見せてくれた。
彼は、年をとってから女の子ができたのでかわいくて仕方ないのだ。

以前「息子の写真を見てください」と言うタイトルで書いたが、子供の写真を見せたがる人は多い。
私はほほえましいとことだと思う。

高校のとき、友人からお母さんの写真を見せられたことがある。
セピア色の、「大正ロマン」風美人写真で、女優のようにきれいに写っていた。
しかし、ほほえましいとは思わなかった。
ちょっとおかしいんじゃないかと思った。

何年か前、高校の同窓会があって、二十人ほど集まった。
卒業以来はじめて会う人も何人かいた。
一年で同じクラスだったA君もその一人だ。

彼は、高校の頃は私と同じで甘いマスクの美少年だった。
私が、「甘いマスクの美少年」から「渋いイケメンナイスミドル」にみごとに変身していたのに対して、彼は「甘いマスクの美少年の成れの果て」になっていた。
気の毒であった。

A君の背広も時計もメガネも上等そうであった。
彼は、「祇園あたりで若い子にもてよと思たらカネしかないやろ」と言った。
祇園あたりの若い子」については知識がないのでなんとも言えない。

一年の時同じクラスだったBさんという女性に一生懸命話しかけている。
「口説いている」という感じだ。

A君は、財布を出して中から写真を取り出してBさんに見せた。
子供の写真ならまーるくおさまるところだ。
なんと、中学時代のA君の写真であった。
甘いマスクの美少年だ。

写真を見せながらA君は熱弁をふるった。

「ぼく、中学時代、もてたんやで。ほんまやで。ほんまにもてたんやから。
生徒会長してたし、バスケットボールしてたし、ほんまにもてたんや」

Bさんが言った。
「それ、さっき聞いたわ。三回目よ」

祇園でもてると言うより、介護されているのだろう。
祇園あたりの若い子」も大変だ。