若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

妖怪そっくりコンテスト

水木しげるさんの故郷の境港市で、「妖怪そっくりコンテスト」が行われる。

水木しげるさんの漫画に登場する妖怪に似た人を募集している。
ネズミ男猫娘に似た人は奮って申し込んでくださいとのことであるが、身近に似た人がいても勝手に推薦してはいけない。
絶対に本人の承諾を得てくださいとのことである。

境港市のホームページを見ると、募集要項の文章がヘンである。
「水木先生の作品に登場する妖怪に登場する妖怪にそっくりで・・・」
いかにも「妖怪そっくりさんコンテスト」にふさわしい書き方だ。

水木しげるさんの漫画を知ったのは高校の頃だ。
美術部のU君が当時発刊されたばかりの『ガロ』という漫画雑誌を見せてくれた。
白土三平つげ義春などといっしょに水木しげるを知った。
かなりアヤシイ漫画だったので、あとで「鬼太郎シリーズ」が大ヒットしたときは驚いた。

U君には「貸本漫画」も教えてもらった。
子供漫画と新聞漫画しか知らなかった私には、「貸本漫画」の暗い貧しい暴力的世界は衝撃的であった。

漫画に関して私の恩人であるが、U君はけったいな男だ。
誰だったか、「あなたは自分が思っているほど複雑ではないし、他人はあなたが思っているほど単純ではない」などとしゃれたことを言っている。

知り合ってすぐのころから、U君は複雑な人だと思った。
初めて彼の家に行ったとき、お兄さんのベンチャーズのLPを聞いた。
ベンチャーズのLP」!
うらやましかった。

ベンチャーズのLPはうらやましかったが、彼のお母さんに対する態度はなっていないと思った。
お母さんはかなりのトシに見えて、彼がムチャクチャにぞんざいな口のききかたをするのが非常に気の毒であった。
なんというやつじゃ。

それからしばらくして、学校で彼が写真を見せた。
セピア色の古い写真で、朝顔形のパターンの中で若い女性が微笑んでいる。
昭和初期の女優のブロマイドか。
U君は写真を渡して黙って反応をうかがっている。

「これ誰?」
「おふくろ」
「・・・・」

高校男子は女子に劣らず複雑ですよ。