若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ゲゲゲの鬼太郎対金太郎

水木しげるさんが世に送った妖怪界最強のキャラクター「ゲゲゲの鬼太郎」と、日本昔話界が誇るスーパーヒーロー「金太郎」がもし闘えば、勝負はどうなるかと言うことを、互いの「知力「体力」「経験」などを数値化し、コンピュータを駆使してシミュレートしようと言うのではない。

私が毎朝乗る電車に、「ゲゲゲの鬼太郎が」乗ってくる。
私立高校の男の子だ。

黒い髪の毛を顔半分にバサリとたらした姿は、「実写版ゲゲゲの鬼太郎」の主役に抜擢されそうな雰囲気なのだ。

この鬼太郎は己の美意識に忠実である。
電車に乗ると、まずかばんを投げ出す。
なんちゅうか、「こんなかばん、持ってられるか!」的投げ出し方である。
今朝のように雨のときは傘も床に投げ出す。

彼の美学なのだ。
ほほえましい。

彼はおしゃれだ。
毎朝、小さな鏡とクシを取り出して、「鬼太郎カット」をなでつける。

彼は少し前まで「鬼太郎」ではなかった。
茶髪で、どういえばいいのか、髪の毛をぴんぴん立てていた。
電車に乗り込んでかばんを投げ出すと、ポケットからクリームのようなものを出して、すでにぴんぴん立っている髪の毛を、入念にぴんぴん立てていた。

その彼がある日突然鬼太郎に変身したのだ。

今朝、次の駅で女子高生が乗ってきて鬼太郎の隣に立った。
女子高生は、極端に髪の毛が短く、立派な体格だ。
「金太郎系」である。

「実写版金太郎」の主役に抜擢されそうな子だ。

金太郎は、隣の鬼太郎が鏡をのぞき込んで一心不乱にクシで髪の毛をとかしているのをまじまじと見つめた。

鬼太郎は全く気にせず、ヘアスタイルを整えるのに夢中だ。
私は不思議に思った。
こういう年頃の男の子は、隣に女の子がいれば気になるのではないか。
女の子がじっと見ていると思ったら、鏡などのぞいていられないのではないか。

ところが、鬼太郎は全く気にしない。
金太郎も珍しいものを見るように無遠慮にじろじろ見ている。
「男のくせに!」
「軟弱な!」
などと思っているのだろうか。

私が両者を見比べて、金太郎の方にやや好感を抱いたその瞬間、金太郎は、ホワ〜〜〜ッととんでもなく大きく口を開けてあくびをした。

このあくびが決め手となって、私の判定は金太郎の優勢勝ち。