若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

遊園地

連休の間、東京で勤めている長女が帰っていた。
普段は次女だけだからにぎやかになる。

二人が小さい頃は、我が家はとんでもなくにぎやかであった。
夕食の時など二人で競争でしゃべりまくる。
私たち夫婦は、黙々と食べている他なかった。
そして食事がすんで二人がテレビを見に行くと、食卓は火が消えたように静かになるのであった。

もちろん楽しく会話が弾むばかりではなかった。
たとえば長女が目を輝かせて
「お母さん、黙っててね。私が言うからね。パパ!私今日幼稚園からどこに行ったと思う?」
すかさず次女が
「柿取り!」

一瞬呆然とした長女がわっと泣き出すと、次女は勝ち誇って追い討ちをかけるように
「柿取り!柿取り!柿取り!」
と絶叫連呼するなどということがよくあった。

今では食事の時二人がそろったからと言って競争でしゃべりまくると言うことはない。
長女は、今回の帰省で「あやめ池遊園地」に行く計画をしていた。
6月で閉鎖になるので、お別れに行こうというのだ。

我が家では、「あやめ池遊園地」によく通った。
家内の実家から歩いて数分なので、何かと言うと「あやめ池遊園地」であった。
うちの子供たちは、初めて泳いだのも、スケートをしたのもこの遊園地だ。

長女は友達と行ってきたのだが、やはり後一ヶ月で閉鎖される遊園地は、かなりわびしいものであったようだ。
ペンキが剥げたままであったり、メリーゴーランドも、「この馬には乗らないで下さい」と書いてあったり、当たり前ではあるがさびしい光景だ。

この遊園地の「絶叫マシン」は、宙返りコースターだが、私が最もスリルを感じた乗り物は、飛行塔のようになったブランコだ。
ブランコみたいな席に座ると、ぐるぐる回りだしてだんだん高くなっていく。

これに、娘達が幼稚園の頃せがまれて乗った。
二人がけなので、私が次女と隣同士に乗って、長女は一人で乗った。

動き出してしばらくして、私は恐怖に震え上がった。
スピードも見ているよりずっと出るし、かなり高く上がる。
長女が、すぽっと座席から落ちてしまいそうに思えたのだ。
スリルどころではなかった。
命が縮んだ。

次女の肩をつかんで、私は前の席の長女に
「鎖、しっかり握って!鎖握って!」
と叫び続けた。
こわかった。
これが私の絶叫マシンだ。