若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

目の色

母のいる施設に行く。

Aさんが亡くなっておられた。
この間までお元気だったのにと言いたいところだが、「要介護老人施設」だから、なんとも言えない。

Aさんで思い出すのは「赤ちゃんパワー」だ。
Aさんは、無言無反応無表情の方だったが、家族の方が生まれたばかりのひ孫を見せに来られた時、赤ちゃんを抱いてニコニコと、「元気やねー」等と言われたので驚いたことがある。

「神秘のピラミッドパワー」に勝るとも劣らぬ「赤ちゃんパワー」だ。
しかし、Aさんにそれに反応する力があったことも事実だ。
人間、様々な力を蓄積しておく必要がある。

私の仲良しだった95歳のMさんは全く無言であった。
しかし、目にはまだ力がある。
私を見る目はいたずらっぽいと言ってもいい。
陽気に冗談をいっていた頃のままだ。

「目の色」は不思議だ。
子供が小さい頃は特にそう思った。

喜び、不安などがそのまま目に出る。
「目の色」の研究をしてる人はいるのだろうか。

次女が3歳か4歳の頃遊園地に行った。
生駒トンネルを通って行く。

出発前、新聞を読んでいると、昔生駒トンネルを作った時の犠牲者の話が出ていた。
娘が、何が書いてあるの、と聞くので、「生駒トンネルを作る時死んだ人のお化けが出る話」と答えた。

娘の目の色が変わった。
楽しい。

さて電車に乗って出発。
トンネルが近づくにつれ娘の目の色がまたも不安そうになる。

天の恵みか、トンネルの真ん中あたりで電車が徐々にスピードを落とし始めた。
「お化けが電車にしがみついて、『ここから出してくれー』て言ってるのかな」と娘に言った。
娘はますます不安そうだ。
楽しい。

うまい具合に、電車はトンネル内で止まってしまった。
娘は「あー」と情けない声を出した。
私の腕をぎゅっとつかみ、目は不安に満ち溢れている。
楽しい。

しばらく止まっていた電車が、ガタンと動き出すと、娘の目の色も元に戻った。