若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

年金法案強行採決

年金法案の強行採決に対して厳しい批判がなされているが、私は「強行採決」の方が「強行採血」よりマシだと思う。

ムリヤリ血を抜かれるのはいやだが、自分の意志で献血するのは良いことだ。
私は二十代の頃よく献血した。
「趣味は献血」と言うくらいだった。

時々、この日記の話の展開が強引だと言われることがあるが、今日の、「年金法案強行採決」から「私と献血」への話の流れは、ごく自然でいいと思う。
いつもこうありたいものだ。

母は私が献血するのを嫌がった。
どちらかというと痩せ型の息子が、献血台に横たわって血を抜かれているところを想像するだけで胸が痛んだのだろう。

私がよく行ったのは、大阪の「日赤血液センター」だ。
採血室は、5、6人入れるようになっていた。
そこで私は意外なことに気づいた。
私の採血時間が短いのだ。

献血前の血圧測定で、いつも血圧が低いと言われる私が、なぜ早く血が出るのか不思議に思って看護婦さんに聞いた。

「それはあなたの血の巡りがいいからですよ。いつも血液が新鮮な酸素を身体中に運んでいるから、あなたは頭の回転も早いし、人もうらやむようなウルトラルーセント美白赤ちゃん肌を維持できているんです」
「いや、肌の方はオロナイン軟膏のおかげなんです」
「そうですか」

ある日私は献血台に横たわり、渡された棒を握ったり開いたりしていた。
隣には血の巡りの悪そうな男がいた。
男の血液を入れる袋を見ていると、量が増えたかと思うと、また減って行く。
どうなっているのだ。

男が私の血液を入れる袋を見た。
ぐんぐん増えていく私の血液を見た瞬間、男の顔色がさっと変わった。
そして男は必死で棒を握ったり開いたりし始めた。
私に抜かれて焦っているのだ。

男の動きに気づいた他の人たちも負けてなるかと激しく棒を握りだした。
腹筋運動をはじめた人もいる。
献血台で足を上げている人もいる。
毛細血管の血液を逆流させようというのだろう。

異変に気づいた看護婦さんが飛んできた。
「何をしているんです!やめてください!早いばかりが献血ではありません!」

騒ぎの中、私は颯爽と献血を終えた。
息も絶え絶えの他の献血者を悠然と見渡して
「看護婦さん、こういう血の巡りの悪い連中ばかりだと時間を食って大変ですな。ワッハッハ」
と私は日赤大阪血液センターを後にしたのであった。