朝日新聞朝刊の「科学面」の記事はショックであった。
グリーンランドなどに住む、レミングスというネズミみたいな動物に関する記事だ。
「レミングス」というと「集団自殺」で有名だ。
繁殖力が旺盛な動物で、数が爆発的に増えると、大集団を形成して暴走し、がけから海にどんどん飛び込むのだ。
その映像も見たことがあるような気がしていた。
ところが、「集団自殺」に疑問を抱いた学者が、長年グリーンランドで研究した結果、そんな事実はなかったというのだ。
「集団自殺」の映像は、ディズニーの「大自然の脅威シリーズ」で紹介されたらしいから、私もそれを見たのだろう。
いかにも、「恐るべき大自然の摂理」という感じがしていたのだが、この科学者の結論は、数が増えるとクマやキツネに食べられ、数が減ると、今度は食べ物がなくなるのでクマやキツネの数が減り、そうするとレミングスが増えて、という単純な食物連鎖の表れだということだ。
「神秘的」でなくなってしまったではないか。
がっかりだ。
「サル」でもがっかりしたことがある。
昔、ニホンザルの研究が始まったころの報告を読んだことがある。
サルの群れが谷から谷へ移動するときの光景が書いてあった。
ボス猿が先頭に立って、行く手を警戒しながら群れを先導する。
そして若いオスたちが、年寄りや、幼い子を連れた母猿や子猿を守るように囲み、後ろはやはりオス猿が警戒しながら移動していくというのだ。
感動するではないか。
ところが、何年か前読んだ新しい「サル学」の本では、その後そういう例は観察されたことがないと書いてあった。
偶然、そんな風に整然と移動するところに出くわしたのか、あるいは研究者がそう思いたかったのかだ。
動物のことを考えるのに、あまり人間と関係付けないほうがよいと忠告している人もある。
テレビの自然番組で、まるで人間の踊りのような動作をする鳥を見たことがある。羽を手のように動かして、どう見ても人間の動きだ。
アナウンサーが、「まるで人間ですね」といったら、動物学者が、「人間が、ああいう鳥の動きを真似て踊りだしたんじゃないですか」といった。
なるほど。
娘が小さいころ、「動物絵本」を声を上げて読んでいた。
「『タコは海の底の色に合わせて、身体の色を変えます』
・・・・タコっておしゃれやねえ」