若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

芸術とは何か

学生時代、こういうタイトルの文章をいくつか読んだことがあるが、何が書いてあったか覚えていない。
ろくなことが書いてなかったのだろう。

若いころは、「大いなる謎」について自分は知らないが、エライ人は知っているに違いないと思うものだ。
トシをとると、ワシが知らんもん誰が知っとるか、ナニ!?知ってる?うそつけ!的傲慢さが身につくのが有難いような迷惑のような、複雑な話だ。

前衛芸術家という人たちがいる。
「人に見てもらって喜んでいるようでは芸術家とは言えない」と叫んで、北極の氷の上に絵を描いた人がいる。
「誰も私の絵を見ることはできない。これが究極の芸術だ」と威張っていたが、「究極の芸術」ではなくて「北極の芸術」だ。

「芸術家」と「芸人」はどうちがうのか。
威張ってるのが芸術家で、ヘラヘラしてるのが芸人か。

動物学者が、ネズミをかごに入れて、ネズミが走るとクルクル回る仕掛けを作った。
ネズミは、人が見ているときの方が張り切って走るという。
ほんとか?
一晩中見ていると、ネズミは寝ずみ走るという。
「ほんとか?」と言ってもらいたい。

長女が1歳のとき。
「良い子の童謡」みたいなレコードをかけていた。
一人でおりこうちゃんに遊んでいるなと思って、部屋をのぞくと、なんと娘はステレオの前で「どんぐりころころ」に合わせて、お尻をぴょこぴょこ動かして「踊っていた」のであった。

感激した。
親なら誰でも、「キャー!可愛い!」と思う。

まして私はタダの親ではなかった。
当時私は、「世界親ばか連盟極東支部」のCEO(最高執行責任者)であった。
それも表の顔に過ぎなかった。
実は私は「世界親ばか連盟」の中の、「親ばか原理主義者」と言われるグループに属し、極東支部の中で最も過激な秘密組織「神聖親ばか同胞団」を指導していたのだ。

その私が、「どんぐりころころ」に合わせてお尻をぴょこぴょこさせる娘の姿を見てしまったのだ。
毎日のように「どんぐりころころ」をかけまくった。
そして柱の影に身を潜め、娘がお尻をぴょこぴょこさせる姿を盗み見て喜んでいたのであった。

あるひ、柱の影からのぞいた私は驚いた。
娘がボーっと立っているではないか。
こんなはずでは、と思ってのぞきこんだ私に気づいた娘は、あわててお尻をぴょこぴょこさせ始めた。

娘は、芸術家と言うより芸人だったのだ。