若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

田辺聖子さんの講演を聞いた

箱根で田辺聖子さんの講演会があった。
家内と聞きに行きました。

私が初めて読んだ田辺さんの本は、三十年程前の「文車日記」である。
「日本古典文学案内」というようなものであった。
名前だけ知っていた田辺さんを一気に好きになってしまった。

私は、この人は永遠の文学少女、清らかな女学生のような方であると思った。
すばらしい!と思って、すぐ田辺さんのほかの随筆集を買ったところ、全然清らかな女学生風でなかったので、大変裏切られたような気がした。

勝手に思い込んで勝手に裏切られたような気になったのであった。
しかし、その後、川柳に関する本とか、杉田久女や岸本水府に関する本を読んで、田辺聖子さんがだんだん好きになった。

家内も田辺さんの随筆が好きで、新聞で講演会の広告を見て申し込んだ。
京都での講演会は即日完売ということで、しかたなく箱根まで聞きに行ったのであった。

聴衆は150人ほどで、60代の女性が中心であったが、思ったよりたくさん若い人がいた。
男は一割ほどであった。
男が少ないだろうとは思っていたが、一割というのはちょっとさびしい。

演題は「楽天少女通ります」
「文学人生を語る」というようなもので、実に楽しかった。
話が面白い。
文章より面白いのではないか。
というか、田辺さんは、しゃべりたくてたまらない人なので、文章を書いているのがまどろっこしいのではないかと思えるほど、次々と言葉があふれ出てくる。

浪花節の、広沢瓢右衛門という人が、「声にも知性があります」と言った。
「なるほど」と思ったが、田辺さんの声は知性的だ。
高い声でコロコロ話されるのだが、時折混ざる、ドスのきいた低い声をもう少したくさん使えば、完璧な「話芸」になると思う。

私はいろんな「えらい人」の講演を聞いたが、田辺さんのお話は最高に面白かった。

ただ、服装が、足が不自由なこともあって、動きやすいように上下で1280円くらいのトレーナーを着ておられるなと思ったのであるが、家内にそう言ったら、ばっかじゃなかろうかと言われた。
高級な服だったようだ。

田辺さん、失礼しました。