くどいようだが、悪いのはサッカーだ。
北京であろうが重慶であろうが、マラソンや水泳の大会で日本選手にブーイングが浴びせられるとは思えない。
もうすぐアテネオリンピックだが、何のためのスポーツか考えてみるべきだ。
スポーツが健康に悪いことははっきりしている。
私が熱心に見るスポーツは箱根駅伝だが、この出場選手で健康な者などいない。
全員どこか具合が悪い。
箱根駅伝はけが人と病人の戦いだ。
選手は、箱根路を走るより、箱根の温泉につかっているべき人たちだ。
スポーツをするのも狂っているが、応援するのはもっと狂っている。
以前、チベットからの留学生が不思議がっていた。
「日本の学生たちが、巨人が勝ったとか阪神が勝ったとか騒いでますが、どっちが勝ったっていいじゃないですか」
もっともだ。
応援するのは狂っているですませられるが、ブーイングを浴びせるとなると「犬畜生の所業」だと言えば犬畜生に失礼だ。
ブーイングは、せめて欧米や中南米のものであってほしかった。
中国も変わった。
30年ほど前、中国から卓球チームが来た時の合言葉は、「友好第一、勝敗第二」だった。
立派なものだ。
中国の卓球が強かったんでしょうね。
弱い方が言ったんではサマにならない。
文化大革命当時、中国には他にもかっこいい言葉があった。
「為人民服務」、「人民のために奉仕する」
中国の新聞で、「為人民服務」という看板をつけた機関車が大草原を走る写真を見て感激したことがある。
かっこいい言葉の常として、それを振り回す人間が周囲に大きな被害を及ぼしたのではあったが。
その中国が、勝ってなんぼという日本などと同じ普通の国になった。
それでも、卓球ファンはサッカーファンよりマシだ。
中国の卓球ファンは、ブーイングなどしない。
「フーイング」をする。
相手選手が玉を打つと、いっせいに「フー!フー!」と息を吹く。
ピンポン玉を吹き飛ばすのだ。
先のアジア大会で、福原愛選手は、この「フーイング」によって何度もミスをした。
サッカーファンも、バカの一つ覚えみたいにブーイングばかりせず、スキーのジャンプのファンの「スーイング」や、卓球ファンの「フーイング」ように頭を使えばどうかと言いたいが、サッカーファンのことだから、頭を使えと言われたら、一斉にヘディングを始めるくらいがおちだろう。