若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

北島選手は河童だ

「スポーツを見る」ということについて考えさせられたのはかなり昔のことだ。

当時、NHKの大相撲の解説は、神風正一さんと玉の海梅吉さんだった。
対照的なお二人であった。

風貌は、神風さんが「紳士」なら、玉の海さんは「野武士」。
話し方などから受ける印象は、神風さんは、なめらかな語り口で、当たりの柔らかい温厚な感じだし、玉の海さんは、愛想もなく武骨でありながら、誠実な人柄を感じさせた。

誰だったか忘れたが、このお二人を非常にうまく描きわけた人がいた。

たとえば、アナウンサーが、「○○山、と山の名前のついた力士は強そうな感じがしますね」と、なんとも返事の仕様のないことを言ったとする。

玉の海さんなら、「そんなこともないでしょう」と一笑に付して終わり。
神風さんなら、「そうですね」と、一応同意するかのような返事をしながら、「ふるさとの山の名前をしこ名にする力士は多いですね」と、まるで関係のないこと言ってきわめて間接的に漠然とやんわりと否定するだろうというのだ。

玉の海さんの解説の時であった。
アナウンサーが、「さあ、これで優勝争いが面白くなってきましたね」と水を向けると、玉の海さんは、「はー、最近はそんな見方もあるんですねー」と答えた。

なるほど。
玉の海さんにとって、誰が優勝するかは大事ではないのだ。
一番一番、技と力を競うあうのを見るのが楽しみなのだ。

音楽を聞くのも難しいと思ったのはヤマハでギターを習いだしてからだ。
同じ曲を聞いても、先生たちと比べると、私は聞いてるうちに入らないと思う。

水曜のレッスンでも言われた。
「この音で違和感ないですか」
「ないです」
「おかしいと思いません?」
「思いません」

困ったもんだ。

オリンピックのテレビを見ていた。
二つ目の金メダルを取った北島選手が、喜びのあまり、ふざけて河童の格好をしていると思ったら、月桂冠をかぶっていたのだった。
河童に見えた。

陸上競技では、「ウイニングラン」とかいって、レースの後、勝者がゆっくり走ってみせることがある。

若草鹿之助商店水泳事業部は、水泳の優勝者は、頭をそって、月桂冠をかぶって「ウイニングスイム」をするよう提案する。
頭をそって月桂冠をかぶれば完全に河童だ。

表彰の時、勝利の美酒として、その頭に清酒月桂冠をかけてやれば完璧だ。