若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

エピクロスについての誤解

誤解していることはたくさんあると思う。

先日本を読んでいて、エピクロスについて誤解していたことがわかった。

エピクロスの名前は、高校の時に知ったと思う。
ギリシャの哲学者で、快楽主義を唱えたと習ったはずだ。
「エピキュリアン」と言えば、「快楽主義者」とか「美食家」とかいう意味だ。

私の貧弱な想像力を駆使して、エピクロスの姿を思い浮かべると、唐の玄宗に張り合って、三千の美女をはべらせ、超高級ワイン、ロマネコンティと、幻の銘酒「越の寒梅」をチャンポンで飲み、フォアグラとキャビアを半々に混ぜた小皿をピエール・カルダンの割り箸で叩きながらチャンチキおけさを歌う、酒池肉林、元祖ドンチャン騒ぎ、一気飲みの親分というイメージなのであった。

ところが、そうではないらしい。
エピクロスという人は、幸せな人生には感覚の喜びが大切だと言ったのだ。
おいしく楽しく食べたり飲んだりするのは大切なことだ。
だから、食べたり飲んだりする前に、よく考えなければならない。
何を食べたり飲んだりするかではなく、誰と食べたり飲んだりするかをよく考えなければならないと言ったそうだ。

エピクロスは、自給自足的な質素な生活を、気のあった友人達と楽しんだらしい。
エピクロスに好感を持ってしまった。

元祖ドンチャン騒ぎでも、一気飲みの親分でもなかったのだ。
誤解であった。
お詫びに、もしギリシャに行く用事があったら、ついでにエピクロスの墓にお参りして線香の一本でもあげたいと思う。

エピクロスの哲学をよく理解するために、著作を読もうと思ったが、まとまったものはほとんど残っていないそうだ。
ますます好感が持てる。
教科書に出ているような有名な哲学者で、読むべきものがほとんど伝わっていないというのはうれしい話だ。

全25巻の全集など残されたら、後の者が迷惑する。
エピクロスで行こう。