若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

トルストイ「文読む月日」

この本は、トルストイが、六年の歳月を費やし、心血を注いで完成させたものだ。
一日を一章として、三百六十五日分、トルストイ自身と、古今東西の聖賢の名言を集めたもので、トルストイは、自分の他の著作は忘れられても、この本だけは人々の記憶に残るだろうと語っていたそうだ。

一月一日
トルストイの言葉。
「不必要なものを多く知るより、必要なものを少し知るほうが良い」

もうちょっと気のきいたことが書けんのか。
ほんまにそうどすなー、としか言い様がない。

「自分自身の思想が枯渇した時に、はじめて書物を読むべきである」
ショーペンハウエル

私には、自分自身の思想がないので、それが枯渇するという恐ろしい目に合わずにすむし、本をどんどん読んでいいわけだ。
ショーペンハウエルは、ほとんどの人に対して読書をすすめていると思える。

「疑いもなく価値のある作家の著作だけに親しむべきである。異論なく良書と認められたものだけを読むがよい」
セネカ

トルストイは、「戦争と平和」「アンナ・カレニーナ」「復活」を読めと言いたいのじゃないかと邪推する。
それにしても、セネカは具体的にどんなものを「良書」と思っていたのか。
セネカは、「論語」も知らなければ、シェークスピアトルストイも知らず、ソクラテスプラトンも「人類の偉大な遺産」ではなかったはずだ。
大体、本なんかあったのか。

「キリストが、財神の誘惑と名づけたものを脱却し、飢えを凌ぐ日々の糧のみで満足し、天の父に向って、天の父が播かず刈らざる鳥達に与えたまうほどの物しか求めない一般庶民・・・」

この、読んでいてゲップが出そうな文章を書いたのは、「ラムネ」という人だそうだ。
この人は、自分の名前があまりに簡単なので、なめられてたまるかと思って、こういう文章を書いたのだろう。

かと思うと、「高くなるにしたがい、ますますへりくだれ。ありもしない知識をひけらかしてはいけない」と、簡潔に書いた人がいるが、彼の名前は、「エクレジャスト・アポクリフィーチェスキー」という。
この人は、自分の名前がややこしいので、お詫びのしるしに簡潔な文章を書いたのだと思う。

まだ一月分を読んだだけだが、文豪トルストイが心血を注いだ金言集だけあって、ホントに面白くない本だ。