若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

田川建三「キリスト教思想への招待」

気持ちのいい本だ。
キリスト教には、くだらん所もたくさんあるが、りっぱな所は生かさなければもったいない」、という、納得できる立場で書かれた本だ。

何が気持ちがいいと言って、この人の「えーかげんなやつ」に対する怒りが気持ちいい。
激しい怒りであるが、さわやかと言っていいくらいのものだ。

土屋文明さんの「新作歌入門」を思い出す。
徹底的に怒っていてなお読んで気持ちがいいというのは素晴らしい。

田川さんという人の文章を前にも読んだことがあるような気がする。

私は、時々図書館で面白くなさそうな本を借りる。
このカンは良く当たるが、どんな面白くない本にも、印象に残る部分はあるものだ。

題名はうろ覚えだが、「マタイによる福音書について」というような本を借りたことがある。
このときも私のカンはさえていて、全く面白くなかった。
何ページか読んだだけだ。
ただ、序文があまりにも強烈だった。

著者をAさんとすると、Bという人が序文を書いていた。

「この著者には、『マタイによる福音書』について書く資格が無い」

す、す、すごい・・・・(-_-;)

序文ですよ、序文。

後書きを読んでもっと驚いた。
この本を書いたAさんは出版前になくなった。
そして、遺族たちが、Aさんの論争相手だったらしいBさんに序文を依頼したのだ。

頼む方も立派だし、引き受けて、「資格が無い」と書く方も立派だ。
普通なら、ほめたたえる所だ。
故人の学識をたたえ、「マタイによる福音書について書けるのはこの人をおいてない」と書くくらいは常識だろう。

ほとんど読まなかったが、私の好きな本だ。

このBさんが、田川建三さんだったような気がするのであるが、忘れてしまったのが残念だ。