土曜の朝刊の、「私の視点」欄に、曽野綾子さんの写真を見つけてうれしくなった。
曽野さんの文章が載っているのだ。
曽野さんの文章は、私の神経を逆なですることが多い。
私は、神経を逆なでされるのが好きなのだ。
喜んで題を見てがっかりした。
「イラク戦争:米国の愚かさ、日本の愚かさ」
真っ当ではないか。
読む気がしない。
しかし、久しぶりの曽野さんの文章だ。
あげ足を取るつもりで読んでみよう。
この文章での彼女の主張の基本は、イラクは我々とは異質で相互理解が不可能な社会だということのようだ。
彼女は、イラクは、民主主義とは別の価値基準を持つ、正義など言葉の飾りに過ぎない部族社会で、国の利益など考えず、自分たちの部族の利益を優先すると言っている。
しかし、「部族」を、「会社、政党、役所」などにおき変えれば、日本もイラクなみだ。
イラクの部族長と、日本の社長や大臣や部長、課長は、理解し合うことが可能だ。
日本には、部族こそないが、道路族、郵政族、暴走族等がある。
負けるもんか!
イラクの格言を紹介している。
「一夜の無政府主義より、数百年に渡る圧制の方がましだ」
「人間を信頼するのは水をこし器に入れるようなものだ」
これがイラク的か?
こんな格言の一つ二つで、イラクには民主主義も自由も縁が無いと決め付けるのはどうかと思う。
雑だ。
テロが当分絶えないだろうという理由を二つあげている。
一つは、世論の支持を失って絶望的になった人達が、「殉教」に走るということ。
二つ目が曽野さんらしくてよろしい。
「貧困と荒野の中で、娯楽もないのに武器だけを手にした人々に残された唯一の楽しみは、生きた人間標的を撃つのにしぼられたことだ」
曽野さんは、テロリストに対するアンケート調査を実施した。
テロリスト名簿から、任意に選んだ560人に対して、曽野さんが電話で質問したものである。
その中の、「あなたは生きた人間を撃つのが楽しいですか」という曽野さんの質問に対して、
「非常に楽しい」と答えたテロリストが46%、「まあ楽しい」が32%、「楽しくない」8%、「どちらとも言えない」4%、「まだ撃ったことがないのでわからない」10%、という結果が出た。
この事実に基づいて上記の文章を書かれたのであるから、私もこれまでの様に、曽野さんは冷たい人だと言って済ませるわけには行かない。