若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

ヘンなのはお経ではなく私たちか

通夜に続き、昨日の葬儀もテノールのグレゴリア聖歌風お経であった。
ヘンな感じだ。

ヘンと言えば、モダンな葬祭式場で行われた葬儀そのものがヘンだ。

祭壇の飾りつけがヘンだ。
カーネーションやバラやランなど、「仏様の花」と言うより、「不思議なフラワーアレンジメント」だ。
白い菊で模様が描いてあるが、「渦」にも見えるし、「ハート」にも見える。

焼香に使う道具も、焼き物ではなく、メタリックな物で、ティファニー製かと思えるオシャレなデザインだ。

進行係りの若い女性がまたヘンだ。
白いブラウスに黒いロングスカート。
深々と礼をし、うやうやしく膝まづく。
ロウソクに火をつけるのに、やはりメタリックな長い「点火機」を使う。
まるで、「宇宙刑事シャイダー」に出てくる謎の人物、「神官ポー」の神殿に仕える巫女みたいだ。

「おごそか」と「こっけい」は紙一重だが、新しい「おごそか」を演出しようとすると、「こっけい感」が強まる。

こうなると、「浄土真宗の葬儀」とは言えないだろう。
なんと言えば良いのかわからないが、私たちがなんとも言いようのない暮らしをしているということの表れであるから、しかたがない。

お坊さんは二人であった。
一人は若い女性だ。
顔が似ているから親子なのだろう。
茶髪を束ねている。
読経に期待したが、残念ながらお父さんのテノールとハーモニーを作り出せていない。
「キー」が合わないのか。
お父さんは、グリークラブではなくて、単なるカラオケファンかもしれない。

お坊さんも何でもありだ。

以前、親戚の法事で、いつも来る和尚さんの娘さんが来たことがあった。
まだ二十代だったと思うが、頭巾をかぶって頭を隠していて、スタイルもよく、豪華な袈裟が似合ってかっこ良かった。

数年前亡くなった伯母の納骨の時に、和尚さんの代理で、高校生の息子が来たこともあった。
背の高い男の子で、ショッキングピンクの腕時計が印象的だった。
普段は「マクドナルド」でバイトしているのだが、時給がいいので今日はこっちに来た、という感じだった。

陽気な伯母だったから、骨になっても笑っているのじゃないかと思った。
納骨のための読経中にケータイが鳴って、「モシモシ、あ、おれ。今バイトやねん。後で電話するワ」というようなことはなかった。