若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

追悼

原健三郎さんがなくなった。

衆議院議員議長で、自民党から連続20期衆議院議員を務めた人だ。
4年前、93歳で引退したとんでもない政治家である。
というより、93歳まで選びつづけた有権者がとんでもないと言うべきか。
原さんの選挙区の人達は敬老精神あふれると言えばいいのか、老人虐待と言えばいいのかよくわからん人達だ。

原健三郎さんは私にとって非常に印象深い政治家だ。

三十年くらい前の選挙で、「原健三郎危うし」という時があった。
新聞に、原さんが選挙運動で土下座しているという記事が出ていた。

その時のテレビの政見放送で、原さんが悲壮な顔で、お願いします、お願いしますと両手をついて頭を下げるのを見た。
恰幅のいい原さんが画面に向ってぺこぺこ頭を下げる姿を見て、たいへんだなーと同情した。

土下座のおかげかテレビぺこぺこのおかげか、原さんは当選した。

選挙が済んでしばらくしてテレビのニュースを見ていたら、農民達が陳情している場面だった。
議員達が、何かの委員会が開かれる会議場に入って行く。
議員に向って、農民達が口々に、「お願いします!」と叫んでいる。

と、原健三郎氏が現れた。
胸を張り腹を突き出して肩で風を切って歩いている。
非常に偉そうな態度であった。
険しい顔で、手にした書類で農民達を払いのけるようにして会議場に入っていった。
「うるさい!じゃまだ!あっち行け!」という感じだった。

土下座とえらい違いではないか。
テレビでぺこぺこ頭を下げてた人とは思えなかった。

原さんは、ぺこぺこする人は要注意だと私に教えてくれた恩人だ。
ご冥福をお祈りします。