若草鹿之助の「今日はラッキー!」

日記です。孫観察、油絵、乗馬、おもしろくない映画の紹介など

伯母の日記

亡くなった伯母の日記を、「ある職業婦人の日記」というタイトルで公開している。

http://www16.ocn.ne.jp/~fobasan/

大正12年からはじめて、せっせと更新していたが、このところ滞っていて、最近やっと「昭和52年分」をアップした。

昭和52年というと、伯母が68歳である。
正直言って、読んでいて面白くない。
私でさえ面白くないのだから、他人様はもっと面白くないだろうと思うと、更新意欲が薄れるのである。

映画や小説なら、終わりに近づくと、ぐっと盛り上がったり、これまでの出来事や、関係あった人々が、「なるほど!そうだったのか!」という感じで再び急激に現れたりするものだが、実人生はそんなわけには行かない。

だんだん面白くなくなってくる。
伯母の日記で一番読み応えがあるのは、戦中戦後の混乱期だ。
特に、出征風景は良く書けていると思う。
文章に緊張がある。
精神的に緊張していたからだろう。

精神的に緊張していないと、文章もたるむ。
私の文章がいい見本だ。

たまに、伯母の日記を読んでくれた人からメールをもらう。
戦前の女性について研究していたり、社会風俗を研究していたりする、まじめな人が多い。
私の日記の読者とはだいぶ違う。

先日メールをくれた方は音楽家で、ピアニストの井上園子について調べていて、伯母の日記を見つけたそうだ。

井上園子?
誰じゃ、と思ったが、たしかに昭和17年に伯母はこの人のピアノを聞きに行っている。
インターネットの威力というか不思議さであるが、この方にとっては何の足しにもならなかっただろう。
何の足しにもならないけれど、なんだか面白いと思ってメールを下さったのであろう。

伯母の晩年の面白くない日記を読んで面白いと思ってメールをくれる人があったら面白いと思う。