朝のバス停。
バス停は、公民館の前にある。
最近、住宅街の方から走ってきて、公民館の壁に向かって倒立する男性がいる。
黒いスエットスーツ姿だ。
最初この人が倒立しているのを見たとき、ドキッとした。
壁に何か黒いものが立てかけてあるのだと思った。
動いたのでびっくりした。
よく見ると「倒立男」だ。
何度か倒立を繰り返して、走り去る。
「逆立ち健康法」を実践しているのだろう。
決まった時間に現れるので、規則正しい人だ。
しかし、早朝、公民館の壁に向かって倒立するのはやめてほしい。
電車の駅のベンチ。
座っていると、隣の席の前に40代と思えるサラリーマン風の男性が立った。
座るのかと思ったら、座らない。
ベンチに向かってしゃがみこんで、かばんをベンチに置いた。
かばんには薬の袋が入っていた。
いくつも入っている。
その人は、袋から次々に錠剤やカプセルを取り出してベンチに並べ始めた。
薬局でも開店するのかと思うほどの種類と量だ。
なぜベンチに座って、かばんをひざに置いて薬を出さないのか。
一心不乱に、ていねいに薬を並べている。
ホームにしゃがんだまま、ペットボトルのお茶で、薬を次々に飲んだ。
決められた薬を、決められただけ、決められた時間に飲んでいるのだろう。
きっちりした人だ。
しかし、早朝、駅のホームにしゃがみこんで、ベンチに薬を並べて飲むのはやめてほしい。