家内が短歌の会に行きだして、短歌の楽しさを知った。
上手な人の作品は面白くない。
「はー、これ、短歌ですね」
つまらん。
「こ、こ、これ、短歌なんですか!?」というようなのが面白い。
「短歌って、五、七、五、七、七、じゃなくて、五、八、九、四、六だったんですか!?」というようなのが楽しい。
しかし、えらいもので、回を重ねるごとに面白いのが減って行く。
NHK学園の、「短歌入門コース:コンクール作品集」が来た。
これも、優秀作とか入選作は面白くない。
投稿作品がすべて掲載されているので、面白い作品がある。
作者は高齢者が多く、厳しい現実が歌われている。
「漏れやすき尿の話よ夫たちの茶の間に入るをしばしためらう」
こういう歌を詠むのはためらわないのですね。
「つまづきて膝にパックリ口開けし傷に夫は新聞放れる」
これはイタイ!
「『変形性膝関節症』庭草の抜けなくなればこの家去ろう」
「孫学ぶ学校見よと自転車で出かけはしたが道に迷いぬ」
もちろん、年をとっても華やぐ心はある。
「冬のソナタの魅力にはまり配役のペ・ヨンジュンに我を失いけり」
最後の字余りでリアルさが際立つ。
「吾になき魅力と思う月の夜の公園にて見し白猫の尾は」
う〜ん、この方のお尻にしっぽが生えてたら魅力が増すであろうか。
真面目な人がNHKに抗議している。
「放映になぜに差が出るNHKオリンピックとパラリンピック」
真面目な人は多い。
「せっかくのガイドの言葉漏らさじと手帳一冊使いきりたる」
真面目にエネルギー問題を詠む人。
「台風の次から次とそのパワー利用できぬかエネルギーとして」
社会問題を見つめる人。
「申し訳ないと社長はテレビにて車の不備の責任を詫ぶ」
蟹を見つめる人。
「魚屋に活性毛蟹の目くるくると動き見つめる夫と連れ立つ」
活性毛蟹とは?目がくるくるとは?
可愛い人もいます。
「窓越しにわがプライバシー覗かれぬあな憎きかな十五夜の月」
「あな」という言葉に「大正」を感じました。
わけのわからん歌も多い。
「二千四年救急の日は忘れない初めて上がりし手術台の上」
手術台の上に立ち上がって、「忘れない!」と決意している姿が目に浮かぶ。
「セールスさん朔日餅をたずさえて月日早かり後幾日ぞ」
難解である。
前衛的だ。